税務申告で申告ミスや不正を疑われた場合、税務調査が入ることがあります。突然やってきた調査官に帳簿などの資料を求められたら、こちらに落ち度がなくても戸惑ってしまったり、焦ったりするものです。普段からできる対策をみていきましょう。

税務調査が入っても慌てないために普段からできること

最近はネット上で簡単に会計処理ができ、e-Taxで申告まで完結することができます。会計の知識が乏しくても、こうしたツールを活用することによって自力による確定申告も難しくない時代となりました。

 

しかし、申告に自信がなくて「税務署に痛くもない腹を探られるのが嫌だ」というオーナーは、会計処理を税理士に任せたほうがよいでしょう。

 

ただ、不動産について明るくない税理士もいますので、人選には注意が必要です。耐用年数や償却期間を間違えると、約10%の過少申告加算金を徴収されることがあります。

 

普段からできる税務対策は、「論より証拠」です。経営日誌に活動内容を丁寧に記録して、誰と何の目的で経費が発生したのかを記しておくことが大切です。そうやって確実な証拠を提示できるようにしておきましょう。

 

取引の証拠を残しておく

「論より証拠」である以上、税務調査が入っても慌てずに済むように取引の証拠を残すことを習慣づけておきましょう。経費として計上するものを購入したり代金を支払ったりした際には、領収書を保管しておくのは基本です。

 

さらに領収書についても税務調査の際にオーナー側と解釈が分かれて争いになりそうなものについては、メモ書きをしておくなど、証拠をしっかりと揃えておくことが重要です。

 

通帳は個人用と事業用で分ける

個人で不動産投資を行っている場合、曖昧になりやすいのが賃貸経営に必要な経費とプライベートな支出とのすみ分けです。ガソリンの領収書1つにしても、それが何のために使ったものなのかを領収書だけでは証明できません。

 

そこで心がけたいのが、銀行口座の分別です。プライベートな金銭の管理に使っている通帳と不動産事業の通帳を分けることで、不動産事業でのお金の流れが分かりやすくなります。不動産投資以外であっても、個人的に事業をしている人は通帳を分けることで税務調査対策になります。

 

節税はしても脱税は絶対にしない

税金は少しでも安く抑えたいと思うのが人情です。そのためのノウハウとして節税があるわけですが、それと同様に税金を安く抑える(もしくはゼロにする)脱税があります。

 

節税は合法的なスキームの範囲内にあるテクニックですが、脱税は所得を隠したり、収入を過少申告したりといったように明確なルール違反です。

 

脱税が発覚すると税金面での大きなペナルティを受けるだけでなく、悪質かつ金額が大きいと判断されると犯罪として処罰される恐れもあります。

 

不動産投資には節税の余地が多くあるため、それを活用することに問題はありませんが、脱税は論外なので絶対にしないようにしましょう。その時は発覚しなくても後になって発覚し、結局脱税によって得られた利益より多くの代償を支払うことになります。

 

 

山崎 博久

リズム株式会社

アセットコンサルティング事業部長

 

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本連載は、リズム株式会社が発信する「不動産コラム」の記事を転載・再編集したものです。

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