(※写真はイメージです/PIXTA)

融資を受ける最大のチャンスは、「創業前」です。ただし、融資を申し込む前に、まずは「トータルで資金がいくらあれば、事業の立ち上げが可能か?」ということを押さえておかなくてはいけません。事業にかかる資金は、創業時にかかる「設備資金」と、その後にかかる「運転資金」の2つです。開業資金を見積もるうえで押さえておくべきポイントを見ていきましょう。

運転資金は「月商の3ヵ月分」が上限

運転資金は、設備資金と異なり、見積もりを求められたり、融資後に使い道について逐一チェックされたりすることはありませんが、収支計画の内容と整合しているかは大事なポイントとなります。

 

また、運転資金は借入額上限が決まっており、月商の2~3ヵ月分が目安となります。月の売上が200万円とすると、運転資金として借りられる上限は、600万円程度ということになります。

 

よって、設備投資がない業種の場合、多く借りたいと思っても、借入額をアップすることが難しくなります。特に、創業後、数年経ってからの運転資金の借入は希望額どおりにはいかないケースが大半ですので、設備資金も含めた創業時の融資の実践が肝要です。

 

創業2年目の人材派遣の会社の融資をサポートしたケースをご紹介しましょう。

 

機械設備や店舗の内装・外装などの設備投資がないため、借入額を伸ばすのが難しい状況でしたが、人材を10名採用したいということで、「10名分×4ヵ月分×人件費=1000万円」で公庫に相談をもちかけました。

 

結果はというと、半額の500万円のみが認められました。もし利益が相応に出ていれば、希望の1000万円を借りられたのですが、業績がやや悪い状況だったのが減額の評価となりました。

 

■「創業後」は融資が難しい…だからこそ創業時の必要経費の洗い出しが重要

また、公庫の見解としては、業績から勘案してまずは5名程度の採用を行い、様子を見て、「業績が上昇したら、また借りてください」というものでした。人件費という名目で融資をする以上、人材を採用しなければ目的と違うことに利用される可能性があるリスクを勘案したのでしょう。

 

この事例からも分かるように、創業後の融資は業績がチェックされるため、希望どおりの融資へのハードルが高くなります。

 

創業時になるべく必要な経費を洗い出し、融資額を多く引き出すとともに、半年程度は売上がゼロでも生活、事業が工面できるよう、6~7ヵ月分ぐらいの生活費は手元においておくようにしましょう。

 

田原 広一

株式会社SoLabo 代表取締役

 

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※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

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田原 広一

幻冬舎メディアコンサルティング

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