経営者は何歳までに事業承継の目処を立てておくべきなのか?

前回は、事業承継における危険度を調べる「チェックシート」について取り上げました。今回は、事業承継は何歳までにしておくべきなのかを見ていきます。

日本では生涯現役主義の経営者も多いが・・・

「2014年版中小企業白書」の「経営者の年齢別事業承継の予定時期」という調査の結果によると、「50歳代を過ぎると、事業承継を10年以内の経営課題として捉える者が急増しているが、その一方で、事業承継を3年より先のことと考えている者が60歳代で約8割、70歳代で約6割、80歳代でも5割超存在していることが分かる」と調査の結果を受けた分析がなされています。

 

50代以降では、やはり事業承継の必要性を感じはじめる経営者の方は多いものの、すぐに取りかかるのではなく、一定期間を経てから事業承継をする予定でいればよいだろうと考えがちです。さらに80代の経営者でも、半数以上が事業承継はすぐにではなく、3〜5年以内にと考えているのですから、いかに経営者の方が生涯現役主義であるかが分かります。

 

【図表1 経営者の年齢別事業承継の予定時期】

可能なら事業承継の目処は「60歳まで

特に中小企業においては、事業承継を問題として認識しているものの、時間的余裕や他業務との兼ね合いから、最優先の問題とは認識されていない場合が多いのが現状です。2013年の帝国データバンク「事業承継に関する企業の意識調査」にあるように、中小企業のうち約30%は事業承継の計画がなく、計画はあるにせよ進めていない企業も約33%あるのです。

 

何歳までに事業承継をするべきであるという確定的な数字はなく、それぞれの会社の事情によるところが大きいのも確かです。しかし、少なくとも経営者である以上、自身の引退時期をいつにするのかの設定ぐらいは決めておくべきでしょう。

 

自らが責任を持って最後まで事業承継を達成して引退ができる年齢はいくつなのでしょう。経営者が急に病に倒れてしまった。最悪の場合は亡くなってしまった――そんな状況で、何の準備もなく後継者が事業承継したとしたら・・・。

 

事業承継に最も欠かせないことは、経営者と後継者による双方向で質の高いコミュニケーションです。それを行うには経営者の体力にも気力にもまだまだ余裕がある段階である方がよいのです。そのためにも、できることならば60歳までには事業承継の目処を立てておきたいところです。

 

【図表2 事業承継を進めるための計画の有無】

浅野会計事務所 所長
仰星監査法人 代表社員 税理士・公認会計士

1965年8月名古屋市生まれ。1990年名古屋大学卒業。監査法人伊東会計事務所(現・あずさ監査法人/名古屋事務所)で10年間実務に従事、ノウハウを学ぶ。
2000年2月、 浅野会計事務所を開業。創業以来、200件を超える事業者の適正申告や経営改善、事業承継など様々な側面からサポートを行っている。

著者紹介

連載1年で事業承継を実現するためのトラブル回避法

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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