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金融市場:オミクロン株への警戒感は後退
MSCI ACWIの月間騰落率は、全体では前月比3.9%、先進国が前月比4.2%、新興国が前月比1.6%となり、大きく下落した11月から持ち直した。オミクロン株の出現でリスク回避的な動きが強くなった11月だったが、12月にはその懸念も後退している。
国別の株価の動きを見ると、12月は対象国48か国中、41か国が上昇している(図表4)。
11月は特にチェコの株価が大きく上昇し、年間の上昇率も50%を超えている※。一方、12月は多くの国の株価が上昇するなか、チリの株価下落が目立った。チリでは19日に大統領選挙の決選投票が行われ、右派のカスト氏と左派のボリッチ氏が争った。結果は左派のボリッチ氏が勝利し、裕福層や鉱山会社への増税などによって投資環境が悪化するとの懸念から株が売られたと見られる(図表5)。
通貨の騰落率を見ると、対ドルの27カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Narrow)が前月比▲0.1%、60カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Broad)が前月比▲0.8%で、ほぼ横ばい圏での推移となった※(前掲図表3)。
※ただし、チェコのMSCIに組み入れられている銘柄は3銘柄(国営電力会社および銀行2銘柄)で変動は個別要因による部分も大きい。例えば、銀行株は利上げによる収益改善見込みが株価を押し上げた面がある。
MSCI ACWIの構成通貨別に見ると、37通貨中26通貨が対ドルで上昇(ドル安)、11通貨が下落(ドル高)だった(図表6)。
オミクロン株の拡大懸念によるリスク回避的な動きが一服し、積極的に利上げを進める国の通貨が対ドルで買われたと見られる。そのような中で、前述の通り大統領選があったチリペソや、金融緩和からの出口が遠いと見られる日本円といった一部の通貨に対して、ドル高傾向が進んだ(図表7)。
なお、11月に急落したトルコリラは、12月の利下げ決定時にさらに売り圧力が強まったものの、エルドアン大統領がリラ建ての預金に対する外貨換算価値の保証措置を導入する趣旨の発言をしたことでリラ買いも進み、12月末の対ドルレートはほぼ11月末と同じ水準となっている。6名目実効為替レートは2021年12月20日の前月末比で算出。
高山 武士
ニッセイ基礎研究所
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