苦労している相続人多数…「暗証番号」も残す必要あり
また、遺言書作成は無理でも、エンディングノートに自分の想いを残すことはおすすめします。子は親のことを知っているようで知らないもの、特に就職等で遠隔地に暮らしていればなおさらです。親に書いてもらうのではなく、親子で話をしながら中身を埋めていくのがいいかもしれません。
さらに、これはとても重要なのですが、銀行のキャッシュカードの暗証番号のほかに、デジタル財産(パソコンやスマホまたはネット銀行やネット証券)のID・パスワードを残してください。これがわからないため、苦労している相続人が多くいらっしゃいます。
なお、うちには財産が少ないからもめないとおっしゃる方が多いのですが、実際に家庭裁判所でもめているのは、遺産価額5,000万円以下のご家庭が7割を超えています。財産が少ないほどもめる、特に自宅が遺産の多くを占めるご家庭はもめる可能性が高いようです。
しかし、分割しづらいといって、安易に不動産を共有するのは避けてください。何事を決めるにも共有者の同意が必要となり、将来、きっと困ることになります。
ただし、相続した不動産を売却する場合、共有をおすすめする場合があります。地方を中心に売却できないリスクを共有してもらうためです。また、相続した不動産を売却する場合の有利な税制がないかもあわせて検討しておいた方がいいと思います。
◎遺言書は、元気なうちに、自分の想いをカタチにするために法定相続分と遺留分ぜひ残しましょう。公正証書遺言がよいのですが、法務局保管の自筆証書遺言でも十分です。家庭裁判所の検認が不要というのは大きなメリットです。
追中徳久
日本税務会計学会/生命保険経営学会税理士