親の死後に発生した会費や遅延金に支払い義務はある?
では、死亡後に解約手続きを忘れてしまったことで発生した会費や遅延金などは、相続人が支払う必要があるのでしょうか?
原則として支払い義務がある
解約を忘れてしまったことで死亡後に発生した会費や滞納に伴う延滞金などは、原則として相続人に支払い義務があります。亡くなった方の権利義務は、原則としてすべて相続人が承継するものとされているためです。
相談により免除してもらえる可能性もゼロではない
会員規約に契約の地位は相続できず、死亡に伴い自動的に退会するとされている旨が定められているケースは少なくありません。
このような規約がある場合でも、相続人からの解約の連絡まではしっかりと会費を請求される場合もありますが、亡くなった日以後の会費の支払いは必要ないとされる可能性も考えられます。
そのため、死亡後長期にわたり解約手続きを忘れてしまっていた場合には、まずはそのサービス提供先に相談してみると良いでしょう。
相続放棄を検討する
死亡後の解約を忘れてしまうケースの中には、そもそも亡くなった方が生前から会費などを滞納していたため、亡くなった方の銀行口座などから支払いが確認できず、手続きが漏れてしまったという場合もあるでしょう。
このような事情で生前からの滞納額が多額となっていた場合には、相続放棄を検討することも一つの手です。
相続放棄をすれば、はじめから相続人ではなかったこととなりますので、被相続人の権利義務を一切引き継がずに済みます。ただし、債務のみを放棄することはできず、プラスの財産についても一切相続の権利がなくなりますので注意しましょう。
死亡後の解約手続きを忘れないための確認方法
死亡後に解約手続きを忘れてしまうと、多くの不利益が生じる可能性があります。 では、解約手続きを忘れずに行うためにはどうすれば良いのでしょうか?
郵便物をこまめに確認する
口座振替となっていた料金の引き落としができなかったり、何かの料金を滞納したりした場合には、まず郵送で請求されることが一般的です。この郵便物を見つけることで、解約できていない会員契約などに早期に気づくことが可能です。
そのため、亡くなった親の郵便物はこまめに確認すると良いでしょう。
通帳の履歴を確認する
亡くなった方の通帳の履歴を見ることで、銀行口座から定期的に支払いをしていた先がわかります。そのため、死亡後の解約手続きを進める際には、亡くなった方の通帳と解約済みのサービスとを突合していくと解約が漏れにくくなるでしょう。
毎月支払うものもあれば、年に1回などの周期で支払うものなどもありますので、少なくとも2年分程度はさかのぼって確認することをおすすめします。
なお、通帳を紛失してしまっている場合や最近通帳が更新されて古い通帳を破棄してしまっていたような場合には、所定の手続きを踏むことで金融機関から取引履歴を取り寄せることも可能です。
クレジットカードの明細を確認する
亡くなった方のクレジットカード明細を見ることで、クレジットカードから定期的に支払いをしていた先がわかります。銀行口座との突合と同様、クレジットカードの明細も確認をすることで解約漏れを防ぐことにつながります。
■まとめ
死亡後に解約手続きを忘れてしまうと、費用がかさんだりクレジットカードの不正使用に巻き込まれたりといった不利益を被る可能性が高くなってしまいます。
解約を忘れてしまわないよう、一つひとつリストアップした上で解約を進め、漏れのないように注意しましょう。
堅田 勇気
Authense法律事務所 弁護士
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