(※写真はイメージです/PIXTA)

病院へ行く際には、化粧は控えめにすることや香水はつけないなど、いわゆる「暗黙の了解」ともいうべき、常識やマナーがあります。それは、在宅医療の現場においても同様です。医療法人あい友会の野末睦理事長が解説します。

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具合が悪い日は病院に行かない?外来受診のマナー

かつて病院で外来をやっているときには、「今日は具合が悪いので、病院にはいけません」という連絡が時々入り、外来を休む人がいました。

 

「病院は具合が悪いから来るところなのに、変だな」と思ったのですが、病院への往復、外来での数時間におよぶこともある待ち時間、患者さん同士でうつし合ってしまうかもしれない感染症などのリスクを考えて、体調が具合悪いときはかえって、通院を延期してしまうのです。

 

術後の経過観察などで通院している人は、このようなこともあってもおかしくないですね。加えて、外来受診の時のマナーみたいなものも、皆さんご存知ですよね。

 

たとえば、顔色や爪の色をみるので、お化粧やマニュキアは控えめにしておくとか、香りに弱い人が多いので、香水は基本的につけていかないとか。

 

聴診を受けると思われるときには、胸部を出しやすい服装にしていくとか、足を診てもらうときには、タイツを履いていかないとか。

 

このように通常の外来診療を受けるときには、それなりのマナーみたいなものが、皆さんのなかに形成されていると思うのですが、在宅医療においては、まだまだそのようなものは形成されていません。

 

在宅医療というものが制度的にしっかりしてからまだ日が浅いのですから無理もないでしょう。

 

今回は、こんな状況も踏まえて、在宅医療を受けるときに必要な常識的な知識、配慮について、まとめてみたいと思います。

在宅医療を受けるときに知っておきたい予備知識

まず住宅、療養環境についていくつか挙げてみたいと思います。まず高齢者の方は普段畳に布団を敷いて寝ている人が多いと思いますが、在宅医療が必要になったような状況では、基本的にベッドで療養するようにするのが基本です。

 

介護保険を用いて電動ベッドを借りることができるので、ぜひ借りていただきたいと思います。

 

ベッドのほうが患者さんの立ち上がりや上半身のギャッジアップが容易になるばかりでなく、介護している家族、更には医療スタッフによる医療行為、看護、介護が、格段に楽になるからです。

 

また同時に、寝返りを自力でできる方は、体圧分散マット、自力での体位変換ができない方はエアマットを借りることが褥瘡(じょくそう)発生予防のために必須です。

 

そしてベッドを置く場所は、寝室である必要はありません。家の状況、その患者さんの家庭での役割などに応じて、もっともふさわしい場所で、しかもできるだけベッド周囲にスペースが取れるところが良いでしょう。リビングにベッドを置いている方も多いようです。

 

そして診察のときには、患者さんと目線の高さを同じくらいにするために、腰掛けて診療する医師も多いので、丸椅子などを準備していただけるといいと思います。

 

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