患者として見極めたいのは、医師の「XXXへの感度」
特に、認知症においては進行性ですから、「変化」に対する感度が良くないと診断スキルは磨かれません。
病前はどうだったのか、いつ頃変化があらわれたのか、もの忘れだけでなく行動にも問題があらわれているとしたらそれはいつからか、といったことは、患者の「今」だけを知ったとて分かりません。
心理テストなどの各種検査をしても、明らかになるのは「今」の患者のことだけで、診断の材料としては非常に限定的といわざるを得ないのです。
これまでの経緯を聞いてみれば、もしかしたらアルツハイマー型認知症ではなくレビー小体型認知症を疑わせる出来事があったかもしれない、薬でせん妄を起こしたことがあったかもしれない、そもそも認知機能は低下していないかもしれない、など多くの判断材料を得られる可能性があるのです。
それを知る努力をしなければ、診断スキルは磨かれないのです。
磯野浩
医療法人昭友会 埼玉森林病院 院長