ものづくり大国ニッポンにおける「脱炭素化」の難しさ (※画像はイメージです/PIXTA)

ものづくり(製造業)を主軸とする日本にとって、温室効果ガス排出量削減の取り組みはどのような意味を持っているのでしょうか。ヴェリア・ラボラトリーズ代表取締役社長の筒見憲三氏が解説します。

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「気候変動」が地球規模の課題だと認識され始めた背景

人間社会が過剰に排出した二酸化炭素などの温室効果ガスが、地球大気の平均気温を上昇させる「地球温暖化」を起こし、さまざまな気象現象に変化を生じさせるーーいわゆる「気候変動」が地球規模の課題として広く認識されるようになったのは、1980年代に遡ります。

 

1992年には気候変動枠組条約(UNFCCC)が採択され、1995年からは現在に続く定例会合(COP)が開催されるようになりました。

 

国際的な協議が活発化したことで、1997年に議決された京都議定書、2015年に採択されたパリ協定と、国際的なルールに沿った温室効果ガス排出量削減による気候変動対策が進められるようになりました。

「脱炭素化」を取り巻く環境に変化…一体なぜなのか

ところが、今日の「脱炭素化」を取り巻くうねりは、これまでの気候変動対策とは様相が異なると、筆者は捉えています。

 

温室効果ガス排出量削減の取り組みを表す言葉が、「"低"炭素化」から「"脱"炭素化」あるいはカーボンニュートラルと表現を変えているのは、その一端と見ることができます

 

筆者は、このような変化が2つの背景から生じていると考えています。

 

一つ目の背景は、気候変動による影響の顕在化です。以前は気候変動による影響というと、北極海の氷河が崩壊し、シロクマが取り残される映像のように、現実味がない茫洋としたイメージで語られることが多くありました。

 

しかし、気候変動による影響は、平均的に見れば徐々にではあっても着実に進行することが特徴であり、その結果としての実害が私たちの社会や生活に現れつつあります。

2019年の日本の水害被害額「2.1兆円」と過去最悪に

実害の一例として、日本国内における水害被害額を見てみましょう。台風や豪雨などの相次ぐ気象災害に見舞われた2019年度には、年間2.1兆円を超える過去最悪の被害額となりました。

 

世界的に見ても、風水害だけでなく森林火災や干魃など気候変動が関連した気象災害は、年間約1500億ドル(約16.6兆円)もの被害を及ぼしています(2019年)。

 

もう一つの背景は、金融や政治の世界において、気候変動問題が主要な議題として認識されるようになったことです。

 

金融界は、世界経済に深刻な打撃を与えた「リーマン・ショック」を経て、気候変動こそが金融システムに大きな影響を与える潜在的リスクであると認識し、その対策を急ピッチで進めています。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『データドリブン脱炭素経営』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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