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世界経済の現状:インフレ(物価上昇)に金融引き締め
新型コロナウィルス感染症の拡大から2年目の今年は、特に先進諸国はワクチン接種を進め年初から力強い経済活動の回復がみられました。
しかしながら、それまで経済活動を制限してきた反動が出ており、経済活動再開で急激に増加した需要に対して、労働力、原材料の不足などによって生産・供給チェーンに障害が発生しています。
それは、足もとの経済活動を鈍化させるほどの影響となっています。それとともにエネルギー価格や原材料価格、物流コストなどが上昇していることにより、インフレーション(物価上昇)が進んでいます。
今月発表された2021年11月の米国消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.8%の上昇、これは1982年6月以来約39年ぶりの高い伸びとなりました。
日本国内でも、半導体などの部品が不足して自動車生産が制限されるなど海外諸国と同様の問題が起きており、原油高や円安傾向から輸入物価は上昇しています。
足もと、企業がそれを価格に転嫁することに慎重であることから、消費者の立場ではまだ目立った物価上昇は感じられていませんが、企業間で取引される物品の価格を示した企業物価指数は上昇しています。
このまま企業が消費者向けの価格に転嫁しない場合は、企業業績に大きなダメージを与えることになりそうです。
ちなみに米国では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、高インフレは「一時的・一過性」のとの見方を示していましたが、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)ではその表現が削除されました。
このように、予想以上にインフレが続くことが予想されるなか、併せて、2020年3月以来ほぼゼロの水準にある政策金利の引き上げの前に、米国ではテーパリング(量的緩和策による資産買い入れ額を徐々に減らしていくこと)を加速し、2022年には3回の金利引き上げを示唆しています。
日本では大口定期預金の金利0.002%に象徴されるようにゼロ金利が続いていますが、経済見通し等を考えると金利は上げづらく、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するほかになさそうです。
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