(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年5月に金融商品取引法が改正されて誕生した「デジタル証券(ST:Security Token)」は、ブロックチェーンで管理されるデジタル金融商品のことを指します。デジタル証券が誕生してから2年が経過したいま、日本のデジタル証券の現状、商品動向について、PayPay証券の創業メンバーで、現在はHash DasH株式会社取締役の三好美佐子氏が詳しく解説します。

日本初のデジタル証券は、販売会社の自社発行社債から

ブロックチェーンなど電子的手段を使って発行される証券で資金調達した日本初の案件は、法改正から約1年経った2021年4月のSBI証券です。同社が発行する「社債」をトークン化し、一般投資家に募集されました。

 

発行、管理から償還までを電子処理で完結させるプラットフォームとして、株式会社BOOSTRYの「ibet for Fin」が使われました。

デジタル証券のメインは「不動産投資」へ

SBI証券のデジタル社債発行のあと、デジタル証券は5本が発行されておりますが、すべて不動産に投資するものとなっています(不動産ST)。これはやはり、金融庁に届出を行う金融商品として、投資家保護や説明責任の観点からまずは安定的な収入が見込まれる投資対象が受け入れられやすいと判断されているためでしょう。

 

ただ、ひと口に不動産STといっても、物件にバリエーションがみられますので、1つずつご紹介します。

 

①ケネディクス・リアルティ・トークン渋谷神南(運用期間:4年6ヵ月、利回り3.4%)

2021年8月募集。東京の渋谷駅から歩いて8分、原宿駅も徒歩圏内にあるレジデンスです。1口100万円、2口(200万円)以上からの購入単位であり、募集額は14億5,300万円、物件価格の半分がローン。

 

②トーセイ・プロパティ・ファンド(シリーズ1)(運用期間:約5年、利回り4.8%)

2021年11月募集。横浜にあるレジデンスで、築28年の築古物件をリノベーションしたものです。このファンドは、国内のデジタル証券で唯一、シンガポールST取引所であるADDXに上場しています。1口の単位は1,000万円とやや大きめで、募集額は8億7,000万円でした。なお、11億円程度のローンを組んでいます。

 

③神戸六甲アイランドDC(運用期間:約5年、利回り:3.2%)

2021年12月募集。大阪と神戸の中間にある人工島(海上文化都市の整備を目指して建設されたもの)にある物流センターです。世界的に有名な外食チェ―ンの倉庫として使われています。1口503,000円、募集額は7億6,699円で、4億6,000万円のローンとなっています。

 

④ケネディクスケネディクス・リアルティ・トークン赤羽志茂(運用期間:約4年、利回り:4.0%)

2022年2月募集。東京都北区にある学生向けレジデンスの「エコールヴィレ赤羽志茂」です。食事付き、全室家具付き、無料インターネット環境ありの現代の学生にニーズがマッチした物件です。1口100万円、募集額21億5,600万円でローンはその約半額です。

 

⑤草津温泉 湯宿季の庭・お宿木の葉(運用期間:約5年、予想利回り:4.1%)

2022年3月募集。草津にある温泉宿が投資対象となっています。グレードの高い「季の庭」、自炊もでき自由に湯治を楽しめる「木の葉」の2軒。1口50万円、募集額は20億8,900万円、物件の約半分がローンです。

 

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