2020年5月1日より施行された改正金融商品取引法において、「電子記録移転権利」としてST(セキュリティ・トークン)が追加されました。これにより、不動産の「デジタル証券化」など、より多様な資産への投資も可能となるため、これからの時代「デジタル証券」に関する知識が武器となり得ます。One Tap BUY(現PayPay証券)を創業し、現在はHash DasH株式会社取締役の三好美佐子氏に、「デジタル証券」の実態について、詳しく話を伺います。

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そもそも「デジタル証券」とはなにか

デジタル証券とは、「ブロックチェーンを使って、電子的に発行された有価証券」のことです。

 

まず「有価証券」とは、財産的な価値を持っているという「権利」を表す証書です。その証書(=証券)が存在することにより、権利が発生していることが確認でき、証券を譲渡することで権利も移転し、権利の行使もその証券によって行われます。

 

代表的な例としては、企業の資本持ち分を表す株式がありますが、手形や小切手なども有価証券の一種です。

 

デジタル証券では、2008年までに存在した「株券」や歴史の古い「手形」「小切手」のような紙の証書ではなく、コンピュータ上に書き込んだ「データ」が権利を証明します。

 

要するに、デジタル証券とは有価証券の完全なペーパーレス化であり、初歩的な概念としては難しく考えずに、何やら特殊な有価証券というよりは、従来とは違う技術を持ったシステムによって管理される「インフラ面が進歩した有価証券」と捉えていただければよいかと思います。

 

しかしながら、単にインフラが進歩しただけではなく、適用される法律の違いから利便性や安全性の向上が見られますので、従来からある有価証券や資金調達方法などと比較しながら見ていきましょう。

 

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ICO(イニシャル・コイン・オファリング)との違い

デジタル化された有価証券はST(セキュリティ・トークン)と呼ばれてブロックチェーンで管理されることになりますが、STを発行してお金を集める(資金調達する)ことをSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)といいます。

 

同じようにトークンを発行して資金調達する方法にICO(イニシャル・コイン・オファリング)があります。ICOは、STと違って裏付けとなる権利がなく、事業やサービスの内容をまとめたホワイトペーパーを公表すれば誰でもお金を集めることができます。

 

その手軽さから、ベンチャー企業でも巨額な資金を調達できる手段として、2018年には全世界で2兆円を超えるコインが発行されました。

 

しかしながら、ICOを管理監督する機関がなかったことから実体のない詐欺的な資金調達が横行してしまいました。そのため、各国政府が規制に乗り出し、ICOブームは収束の運びとなりました。

 

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