ドライアイに「目薬をたくさんさす」は逆効果
Q. 目薬をたくさんさせば、目は潤うのではないですか。
A. よかれと思って1日に10回も20回も目薬をさしている人がいますけれど、そうすると、ただでさえ少ない涙が洗い流されてしまいます。そして「目の表面をおおって乾燥を防ぐ」という涙本来の役目を果たせなくなるんです。
涙には、目の表面の細胞に酸素や栄養を送ったり、殺菌作用を持つ成分が微生物の侵入や細菌の感染を防いだりする大切な役割があります。だから、目薬で涙が洗い流されてしまうと、目の機能を正常に維持できなくなってしまいます。
また、市販の目薬には防腐剤などが多く含まれており、目の表面のアレルギー反応や障害の原因にもなり得ますから、目薬の使いすぎは逆効果になるんです。
Q. では、「目が乾く」と感じたらどうすればいいのでしょう。
A. まずは、市販の防腐剤が入っていない、涙の性質に近い「涙液型」の目薬を定められた回数で試してみましょう。
目薬で改善すれば、原因は単純に涙の量が少ないことだとわかるでしょう。目薬で改善しない場合は、涙の質のほうが原因であるか、慢性のアレルギー性結膜炎の可能性があります。この場合は、眼科を受診するべきです。
また、慢性のアレルギー性結膜炎を予防するためには、コンタクトレンズは1日で使い捨てる「ワンデータイプ」がいいです。ハウスダスト対策にもなります。いくら丁寧に洗ったつもりでも、2週間連続装用などでは汚れが残りやすくなるからです。
●涙の性質に近く防腐剤の入っていない目薬を試してみる(用法と容量を守って使いすぎないように)。
●慢性のアレルギー性結膜炎を予防するため、コンタクトレンズを使用するならワンデータイプにする。
*目薬を使っても乾きが収まらなければ眼科を受診
症状:悲しくもないのに涙が出る
■「目が乾く」だけではない…「涙が出る」のもドライアイが原因
A. 冬になると「自転車に乗っているだけで涙が止まらない」とクリニックを訪れる人が増えるんですよ。
Q. あ、私もそうなんです。なんで悲しくもないのに、涙が出るんでしょう。
A. これもドライアイが原因です。ドライアイで涙の量が減ったり質が変わったりすると、目の表面を潤す涙の保護膜の機能が弱まります。すると、自転車に乗って向かい風にあたったり、タバコの煙がただよってきたりするようなちょっとした刺激でも、目が「大変なことが起こっている!」と過剰に反応し、涙を流して目を守ろうとするんです。
涙の量が多いのにドライアイと診断されてビックリする人が多いのですが、刺激がないときに目を守っている微量の涙が乾いてなくなってしまうと、刺激に敏感になって反対に涙の分泌が大量に増えます。冬は空気が乾燥していますから、余計にドライアイが生じやすいです。
Q. 自転車に乗るときに、メガネやサングラスをかけるとドライアイが改善したりしませんか?
A. ゴーグルのように、目の周り全体をおおうものなら、なおさらいいでしょうね。とはいえ、やはり、ドライアイを根本的に改善したほうがいいでしょう。