「まぶたが下がってきたな」…目の症状から「脳の異常」が見つかったケース【眼科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

目のかすみやぼやけといった何気ない症状が、実は「失明リスクのある怖い眼科疾患」だったというケースは珍しくありません。一方、目の症状や眼科疾患のウラに実は「目以外の怖い病気」が隠れていたということも…。ここでは、眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック院長・梶原一人医師が、「目の症状」の原因が実は「脳の異常」だったという実例を解説します。

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「まぶたが下がる病気」だと思って眼科を受診したが…

この実例は目の検査から脳の異常が見つかったケースです。

 

朝、メイクをするときに「なんだか、まぶたが下がってきたな」と感じることが多くなった30代の女性。職業は歯科医です。

 

加齢による筋肉や皮膚のたるみが原因となることが多い「眼瞼下垂(がんけんかすい)」だろうと自分で勝手に思い込み、なんだかいつも眠たそうで老けて見えることも気がかりだったので、どうにかしたいと私のクリニックを訪れました。

 

眼瞼下垂は、加齢とともにまぶたを引き上げる「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」という筋肉、または神経の異常で、まぶたが下がる病気です。

 

加齢が原因で目が大きく開かなくなるケースが多いのですが、若い人にも増えています。筋肉が原因の場合、加齢にともなうもの以外に、花粉症などで目をこすり続けたり、コンタクトレンズによってまぶたの内側から慢性的な刺激が加わったりすることが原因になることもあります。

まぶたが下がった元凶は「脳腫瘍」だった

この女性の場合、両目だけでなくおでこなど、さまざまな方向から診察したところ、左目のまぶたが下がっている原因が“目の変形”であることに気づきました。

 

目の奥から眼球が押されて、わずかに前方(なおかつ下方)へ突出していたのです。そんな目の変形の結果として、まぶたが下がって見えたのです。

 

 

筋肉の衰えではなく、目の奥から脳にかけて問題がありそうだと考えた私は、CTで頭蓋(ずがい)内を確認しました。

 

すると、なんと脳や脊髄(せきずい)を守るための膜である「髄膜(ずいまく)」に大きな腫瘍(しゅよう)があることがわかったのです。脳腫瘍が、おでこの骨である「前頭骨(ぜんとうこつ)」を内側から押したため、まぶたが下がり、眼瞼下垂のような症状を起こしていました。

 

手術が必要になるため、私はすぐに脳神経外科を紹介しました。この女性のように、ささいな症状から目や目の奥、そして体にひそむ怖い病気が見つかることは決して少なくありません。

緑内障で「今年中に失明する」と言われていたが…

「残念ですが、今年中には両目とも見えなくなるでしょう」

 

緑内障の治療で通っていた眼科医に、そう宣告されたという60代の女性。失明してしまったら外出もままならない、もう孫の顔も見られなくなると絶望し、所持品などの身辺整理を始めていたそうです。

 

あまりに落ち込みが激しく、家に引きこもるようになったこの女性の娘さんが、「なんとかならないか」とインターネットで「緑内障治療」のキーワード検索をして、私のクリニックを訪れたのでした。

 

診察すると、激しい「ぶどう膜炎」に起因する「続発性緑内障」ではあるものの、一般的な緑内障の状態とは微妙に異なる視野障害だったため、私は脳の状態を確認しようとMRI検査をしました。

 

すると、両目から伸びている視神経が交差する脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という場所に大きな腫瘍が見つかりました。

 

この女性の場合、網膜疾患の「ぶどう膜炎」による「続発性緑内障」のウラに、脳の「下垂体腫瘍(かすいたいしゅよう)」が隠れていたのです。

 

緑内障の中には「ぶどう膜炎」や「糖尿病」などの病気によって眼圧が上がって視神経の障害となる「続発性緑内障」という特殊なケースもあります。

 

この女性の場合、「ぶどう膜炎」が重症で薬では治らず、結果として上昇した眼圧もコントロールできないうえに、下垂体腫瘍が圧迫し、視神経が常に高い圧力で、しかも複数の場所でダメージを受け続けていたのです。

脳腫瘍を取り除いた結果、視野はすっかり回復

続発性緑内障の場合、緑内障の治療と同時に、原因となる病気の治療もあわせて行わなければなりません。

 

視神経が長期間にわたりダメージを受け続けていた場合、脳腫瘍をとり除いてもさほど回復しないケースもあります。

 

しかし、一時は死まで覚悟していたこの女性の場合、手術によって脳腫瘍をとり除くと「カーテンを開けたように明るくなりました!」というくらいに見えやすくなり、娘さんも驚くほどすっかり元気になったのです。

 

緑内障はあったものの、「今年中には失明する」と医師に宣告された視神経障害の本当の原因は、脳腫瘍だったのです。

 

そして「見える間にやりたいことをやろう」と、新たに山登りを始めたり、友人とカラオケに出かけたりと、活発に外出するようになりました。

 

着る服やヘアースタイルまで明るくなり、私もクリニックのスタッフたちも驚くほどです。

 

 

梶原 一人

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック 院長

 

 

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眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック 院長 

慶應義塾大学医学部卒。ハーバード大学研究員、スタンフォード大学リサーチ・アソシエート。日本人初のハワード・ヒューズ・メディカル・インスティテュート奨学生。北里賞受賞。

1959年東京都品川区生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、臨床眼科学を学び眼科医に。現場で治せない多くの病気に直面し「根本的な治療法を考えたい」と1990年にハーバード大学に研究員として留学。在職中に世界で最も権威のある科学雑誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文を発表する。

1994年、スタンフォード大学医学部・神経生物学教室にリサーチ・アソシエートとして移籍。1995年、東京大学医科学研究所・化学研究部の客員研究員を兼任し、帰国後は理化学研究所脳科学総合研究センター(神経再生研究チーム・チームリーダー)。

2006年、「眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック」開設。最新鋭の検査機器を揃えて高レベルの医療を提供するだけでなく、米国で学んだ「患者さんの立場になって優しく心のこもったケアをする(TLC=Tender Lovely Care)」を実践し、口コミで患者さんが増加。整理券を配布しても行列ができる評判のクリニックとなっている。

著者紹介

連載名医が教える放っておくと怖い「目」の症状

※本連載は、梶原一人氏の著書『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

梶原 一人

ダイヤモンド社

痛くもかゆくもないのに失明寸前!?「ちょっと様子を見よう」が悲劇の始まり。 「モノがぼやけて見える」 「視力が下がってきた」 「目がかすむ」 そんな気になる目の症状を放置していませんか? 目の疾患には、これ…

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