(※画像はイメージです/PIXTA)

これまで「中学受験をするなら塾通いは必須」と言われてきました。しかし、新型コロナの感染拡大によって、こうした学習スタイルは変わりつつあります。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

コロナ禍が崩した大手塾の学習スタイル

私はプロ家庭教師なので、塾に通わないご家庭もたくさん指導してきています。よって、③と⑧以外は対応できます。

 

「③頻繁に実施するテスト」に関しては「では、家庭教師が毎週テストを実施すればいいのでは?」という声も聞こえてきそうですが、ことはそう単純ではありません。大手塾の子たちは、授業前テスト、確認テスト、復習テストといった膨大な量のテストを「⑧切磋琢磨する仲間」の中で受け続けています。

 

隣の席の子との交換採点、点数によって決まる席順などを通し、自分の点数が知れ渡るという辛さを同時に経験しているのです。そういった経験からテストに対する「勝負強さ」が養われます。一発勝負の入試は、学力だけでは合格できないのです。塾に通わない子は、仲間がいなくても孤独に勉強を進めていく強さと、頻繁に外部模試を受けて試験慣れしていく経験が必要です。

 

しかし最近、大手塾に頼らないご家庭が増えてきました。

 

1つには、勉強の仕方が多様化したことが挙げられます。今やどの家にもパソコンかタブレットがあり、塾に通わずともさまざまな授業動画を見られるようになりました。また、学習レベルに応じた参考書や問題集も毎年出版され、ネットでその評判を知ることができます。さらに、個別指導や家庭教師に対する考え方もハードルが下がり、利用する家庭が増えてきました。

 

別の理由として、中学受験に対する価値観の多様化も挙げられます。かつては塾の言うことは絶対で、授業の特訓コースをすすめられたら断れず、入試日程(出願する学校)も塾のいいなりという家庭がほとんどでしたが、今は「うちにはうちの考えがある」と、家庭が意思を持ち始めたのです。

 

その結果、コロナ禍前に実施された2020年入試では、塾がすすめた従来型パッケージどおりに受験した家庭で不合格が続出しました。自分で足を運んで学校情報を仕入れ、偏差値に頼らない学校選びをする家庭が増えたために、塾の読みが外れたのです。

 

そして、コロナ禍による緊急事態宣言。大手塾はどこも休塾せざるを得ず、授業もテストも実施できなくなりました。こうなると、③⑧のアドバンテージも意味がなくなります。

 

もともと、大手塾には「テキストは上位層向け」「志望校対策コースは難関校しかない」「一対多のため、きめ細かいサポートは期待できない」といった不文律があり、「大手塾に通わせている以上は仕方がない」「下位クラスにいるウチが悪い」とあきらめを持つご家庭がたくさんありました。

 

しかし、大手塾がつくり上げてきた従来の学習スタイルが、コロナ禍を境に崩れ始め、従来のスタイルに異を唱える声が上がり始めました。「中学受験は完全に個人カスタマイズ型となり、大手塾はなくなる」と分析する人もいます。

 

従来型の学習スタイルを追い求めるのか、新しい学習スタイルを構築するか―ここに正解はありません。大切なのはわが子に合う学習スタイルを見つけることであり、「なぜ中学受験をするのか」を明確にしておかねばそれを見つけることはできません。

 

Pointまとめ
●中学受験の雛形は大手塾がつくってきた。
●中学受験に対する価値観が多様化し、大手塾の枠組みに限界が生じ始めている。
●わが子に合う学習スタイルを構築するには、中学受験の目的の明確化が必須。

 

安浪京子
株式会社アートオブエデュケーション代表取締役
算数教育家
中学受験専門カウンセラー

 

 

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

中学受験では、親が子どもをサポートしようと一生懸命になるほど、無意識に子どもと一体化し、中学受験の迷信に縛られて子どもを追い詰めてしまいがちだ。子どもの人生は合格発表の瞬間に終わるわけではない。大人が子どもの受…

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