(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産オーナーをしばしば悩ませる「不良入居者」。家賃滞納はもちろん、騒音問題やごみ問題といったトラブルを引き起こす問題児です。このような入居者がいると、オーナーに多大なストレスがかかるばかりか、収益にも看過できない悪影響を及ぼします。法に則り対応するには、どのような方法があるのでしょうか。不動産のプロが解説します。

対応は「法的措置・任意の話し合い」の二択

では、不良入居者である「滞納者」と「モンスター入居者」の追い出しはどうすればいいのでしょうか。

 

滞納者については、保証会社に入っている場合は保証会社が対応しますので、ここでは保証会社に入っていない滞納者への対応です。前々項で法律事務所を使っての回収方法をご紹介しました。しかし、この方法でも回収できない場合があります。その場合は、追い出すしか手はありません。その追い出しの手法には「法的措置」と「任意の話し合い」という二種類があります。

 

一つめの「法的措置」は、家賃の不払いや他に迷惑をかけることを理由に裁判所に申し立て、立ち退きの判決をもらう方法です。

 

これは、時間と弁護士費用(100万円前後)がかかります。また、不払いが1、2ヵ月分では裁判所も認めてくれないため、3ヵ月分以上の滞納に対して申し立てる必要があり、判決が出るのに数ヵ月かかります。

 

判決が下れば強制執行となりますが、未収分の家賃は基本的に回収することはできません。基本的にはあきらめるしかないのが実情です。また現実的には、ゴミ屋敷のゴミも入居者に撤去させることはできないでしょう。

 

二つめは「任意の話し合い」による退去です。

 

話し合いを行って、出て行ってもらうというものです。通常は、オーナーさんもしくは管理会社が行うことになります。

 

この場合は、話し合いで解決できれば、法的措置に比べれば時間が短縮できる(最短1ヵ月未満)というメリットがあります。

 

ただし、法的措置と同様に未収分の家賃を回収することはまず不可能です。下手をすれば引っ越し代などの名目で退去してもらうため、入居者にお金を払わなければいけないケースも多くあります。まさに「盗人に追銭」です。オーナーさんにとっては「踏んだり蹴ったり」です。しかし、根本的にわが国には、借地借家法の存在がありますので、致し方ない部分がどうしてもあるのです。

 

そして、法的措置にしろ、任意の話し合いにしろ、オーナーさんにとっては別途、対象部屋の原状回復費用がかかります。さらに、空室期間の機会損失が発生し、新規入居者獲得のための広告料もかかります。

 

不良入居者を入れてしまうということは、オーナーさんにとっては非常に大きなマイナスになることをご理解いただければと思います。

 

 

 

大谷 義武
武蔵コーポレーション株式会社 代表取締役

 

太田 大作
武蔵コーポレーション株式会社 専務取締役

 

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