歯周病が「肥満を誘発する」との研究結果も
1995年に阪神淡路大震災が起きた際、避難所にいる人たちには歯ブラシがまったく行き届いていませんでした。それよりも寝る場所や食べものを確保するほうが優先され、衛生面の管理は後回しになっていたのです。断水によってうがいすら十分にできない人がたくさんいたと聞いています。当然、入れ歯を洗うこともままならなかったでしょう。
その結果、口のなかで細菌が繁殖し、歯周病菌を多く含んだ唾液を飲み込んでしまうことで誤嚥性肺炎を発症する人が続出したのです。2004年5月14日の神戸新聞では、この震災による総死亡者は6434人で、そのうちの14.3%にあたる922人は「震災関連死」で、多くが「誤嚥性肺炎」によるものだと明かされています。
この教訓を活かし、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では被災者たちの口腔清掃が重要課題として掲げられ、ポスターを貼って口腔ケアを呼び掛けたり各地の歯科医院から歯ブラシの救援物資が届いたりと、大きく変わりました。
さらに、歯周病は肥満を誘発するという研究結果も出ています。
2009年、ハーバード大学公衆衛生大学院(ボストン)の研究者らが、歯周病と診断されたことのない3万7000人のデータを解析し、1986年から2002年までの16年にわたって調査しました。体重の増加やお腹周りのサイズの変化をもとに歯周病の発症との関連を調べた結果、BMIが30以上あった肥満の人は、標準体重の人に比べ、歯周病をはじめとする口腔内の異常が起こる危険が25%から29%高くなっていたことが分かりました。また、歯周病を発症する危険は、ウエストサイズが40インチ(約102センチメートル)以上の人ではそうでない人より19%も高いという結果も明らかになっています。
きれいな口元を保つためにオーラルケアは欠かせませんが、実はそうしたケアは命の安全にもつながっているというわけです。
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虫歯菌や歯周病菌が全身を巡ると、命に関わる場合も
虫歯菌や歯周病菌が全身を巡ることであらゆる病気を引き起こし、ときには命を落としてしまう可能性もはらんでいます。つまり、歯は命の中心点に位置しているのです。また、膵臓や肝臓など、すべての消化器官の入り口、つまり口腔内に歯はあります。これほどまでに大切な体の一部は「臓器」といってもよいと思うのです。
人の誕生は、卵子と精子が出会って受精卵をつくるところからスタートします。徐々に細胞分裂を繰り返し、受精してから3週間後に3つの胚はい葉ように分かれます。内胚葉からは呼吸器や消化器が、中胚葉からは筋肉や骨、心臓が、外胚葉からは脳や神経などができていくのです。
歯はどれに分類されるかというと、実は、脳や神経と同じ「外胚葉」から発生します。脳や神経の一部といわれると、「痛いから削る」「邪魔だから抜く」「なくなったら入れ歯で代用する」なんて、軽々しく考えられないはずです。
それに、歯は神経があるからこそ冷たいものを食べたらしみますし、虫歯が悪化したら痛みも感じます。「痛い」とか「冷たい」といった「感覚」を感知できる紛れもない感覚神経なのです。私たちは、視覚・味覚・触覚・嗅覚・聴覚といった「五感」と同様に、感覚の一つであると考えています。
これを前提とすると、五感によい刺激を与えることで脳神経は活発化しますから、歯が不快感を感知したときには悪い脳反射が起こるといえると思います。それは例えば悪い噛み合わせによるものだったり、ワイヤー矯正による不快感だったりとさまざまです。だからこそ、私たちは歯という感覚神経が喜ぶための処置を施したいと常々考えているのです。
三嶋 一平
医療法人むらつ歯科クリニック勤務医
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