※画像はイメージです/PIXTA

歯並びは単なる見た目の問題にとどまりません。歯並びの悪さに起因する、虫歯、歯槽膿漏、顎関節症といった病気のリスクの放置は、本人が高齢となった際の全身に及ぶ健康問題のリスクに直結します。矯正治療を検討したほうがいい「不正咬合」について、現役の歯科医師が図をもとに解説していきます。

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歯並びや噛み合わせの問題は、健康への影響も大きい

歯並びや噛み合わせが悪い場合、見た目を左右するだけでなく、「虫歯ができやすくなる」「顎関節症になりやすい」などといった二次被害も起こりやすいといわれています。ところが、なんとなくコンプレックスを感じながらも、実際のところそれがどのように影響しているかまでは知らない人が多いのです。

 

不正咬合の種類は次のとおりです。鏡を見ながらご自身の歯の状態と比べてみてください。そして、少しでも当てはまるものがあればぜひ早いうちに矯正相談に行くことをおすすめします。

 

①叢生(そうせい)

本来は隣り合って並ぶはずの歯が、互いに重なり合ったり傾いたりする、乱れた状態の歯並びのことを指します。別名「乱ぐい歯」ともいい、日本人の不正咬合のなかでは最も多い症状です。「八重歯」もこの状態にあたります。

 

[図表1]叢生

 

顎が小さく、十分なスペースが確保されないままに永久歯が生えることでこのような歯並びになってしまいます。特に、昨今は食生活の変化から顎が発達しないまま成長する子どもが増えているため、叢生に関する相談も増加傾向にあります。

 

歯と歯が複雑に入り組んでいるので歯ブラシが届きにくく、汚れも溜まりやすいため、この状態を放っておくと、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

 

②上顎前突

上の前歯が前方に出ている状態のことで、俗に「出っ歯」と呼ばれます。幼少期の指しゃぶりの習慣や、おしゃぶりをくわえていた期間が長かった人がなりやすいといわれていますが、大人になってからの習慣も影響します。その一つが「口呼吸」です。口呼吸はいつも口がポカンと開いた状態のため、唇の筋肉が衰えてしまい、唇が前歯を抑えられなくなり、出っ歯になるというわけです。

 

[図表2]上顎前突

 

また、舌のコントロールがうまくできずに舌で前歯を押してしまうことで、症状が表れることもあるのです。出っ歯の人は口腔内が乾きやすいため、口臭トラブルを引き起こしやすいのも特徴です。

 

③下顎前突(かがくぜんとつ)

上顎前突の逆で、下の歯が上の歯より前に出てしまっている状態です。「反対咬合」「受け口」「しゃくれ」ともいわれます。

 

[図表3]下顎前突

 

多くは遺伝的な要因によって起こるとされていますが、幼児期の指しゃぶりや、頬杖、下顎を前に出すなどといったクセによって後天的に引き起こされることもあります。

 

出っ歯と同様に、食べものが噛み切りにくいというのが最大の難点です。また、滑舌が悪い人も多く「サ行」「タ行」の発音が苦手な人もいます。ほとんどの場合は矯正治療で改善できますが、状態によっては下顎の外科手術が必要な場合もあります。さらに、もしも「顎変形症」と診断されると、治療には保険が適用されます。「もしかしたら下顎前突かもしれない」と思う方は、一度診てもらうといいでしょう。

 

④上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)

上下の歯が正常な位置より前方に出ている状態を指します。口元全体が前に突き出ているため、横を向いたときに口元が出っ張って見えることから、横顔にコンプレックスを感じている人が多いように思います。

 

[図表4]上下顎前突

 

下顎前突と同様、遺伝的なものもあれば口呼吸などの日頃のクセによって後天的になってしまう人もいます。普段から口が開いた状態になりやすく、口のなかが乾燥しやすくなることで口臭を引き起こしてしまうほか、なにかとぶつかった際に口のなかを怪我するリスクが高まります。

 

⑤開咬(かいこう)

奥歯は噛めていても、上下の前歯がまったく噛み合っていない状態のことで、別名「オープンバイト」といわれています。

 

[図表5]開咬

 

 

 

後天的になってしまう人の多くは、成長期にアデノイドや扁桃腺肥大など呼吸器系の病をわずらったため、鼻が詰まりやすく口呼吸になり、結果、オープンバイトになりやすいといわれています。

 

前歯が完全に噛み合っていないので食事がしづらく、自然と奥歯に力がかかってしまうため奥歯が欠けたり折れたりするおそれがあります。

 

⑥空隙歯列(くうげきしれつ)

歯と歯のあいだに隙間がある、いわゆる「すきっ歯」です。

 

[図表6]空隙歯列

 

顎が大きいか、もしくは歯が小さいことで引き起こされるといわれています。見た目はもちろんですが、話すときに歯と歯のあいだから空気が漏れてしまうため、発音が聞き取りにくいほか、食事をする際にはクチャクチャと音が出やすくなるといったことも考えられます。さらに、歯と歯のあいだに食べかすが詰まりやすいので虫歯や歯周病にもなりやすくなります。

 

また、全体の噛み合わせが正常ではないことにより、顎に負担がかかり顎関節症の原因になることもあります。

 

⑦交叉咬合(こうさこうごう)

別名「クロスバイト」「すれ違い咬合」と呼ばれ、上下の歯の噛み合わせが横にずれていることをいいます。

 

[図表7]交叉咬合

 

もともと歯の位置が正しくないために下顎の骨を横にずらして噛もうとするのでこのような状態を招いてしまいます。遺伝的に歪んだ顎の骨を引き継いでしまったケースもありますが、多くは頬杖をついたりどちらか片方だけで咀嚼をしたりといった悪習慣が原因です。また、まれに過去に銀歯や差し歯などの不十分な歯科処置を受けてしまったことで異常をきたすこともあります。

 

放置しておくと顎の骨の変形を引き起こし、顔が歪んでしまう可能性があります。

 

⑧過蓋咬合(かがいこうごう)

上の歯が下の歯を覆い隠すほど深い噛み合わせのことを指します。

 

[図表8]過蓋咬合

 

ほかの不正咬合と比べると、見た目で不具合が分かりにくいので、若いうちから治療する患者さんはそれほど多くありません。しかし、このタイプの不正咬合は顎関節症になる可能性が高いので、要注意です。年齢とともに症状が進行していくことが多いので、早めの治療をおすすめします。

 

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※本記事は、『口元美人を叶える インビザライン矯正治療』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

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