2022年から高校の授業に取り入れられる「資産形成」
なぜそういうことになってしまうのかといえば、制度導入時にも、その後の継続教育においても、正しい投資・運用教育がなされていないためだと思われます。
ちなみに、2022年から日本の高校の授業でも「資産形成」を教えることになるそうです。あと10年くらい経てば、正しい投資の知識をもつ若い世代が増えるかもしれません。しかし、現状ではまったく投資のことを知らない従業員が大半です。
そこで、企業型確定拠出年金の導入支援企業が行う投資教育の中身が非常に重要になるのです。
単に制度の導入のサポートをしてくれる導入支援企業ではなく、投資・運用教育についても高いレベルで対応できる導入支援企業でなければ、せっかく企業型確定拠出年金を導入しても「仏作って魂入れず」という状況になりかねません(なお、ここで触れた投資の基本はほんのさわりです)。
企業型確定拠出年金の導入にはさまざまな手続きが必要です。会社には正しい導入と制度運用を行う法的な責任があります。しかし、現実的には社長がこれらをすべて理解して自分で実行することは困難でしょう。
逆にいえば、導入も運用もすべて責任をもってしっかりサポートしてくれる導入支援企業と出会うことができれば、企業型確定拠出年金の導入は半分成功したようなものです。
ところが驚くべきことに、導入支援企業に依頼したにもかかわらず、その担当者の知識や経験が不足しており、会社にとって不適切な制度導入や従業員にとって不利になる制度設計をしてしまっている例、あるいは、投資・運用教育が形骸化してほとんどなされていないような例が、現実には多数存在しているのです。
導入支援企業は、会社と従業員の「将来」を託す重要なパートナーです。その選定にあたっては、複数社と面談を行い、詳しい話を聞くなど、その知識や経験をしっかり確認し、慎重に見極めることが重要です。
細川知宏
企業年金コンサルタント