軍用地料の値上がり率の高い「宅地見込み地」とは?
次に、「軍用地料の値上がり率の高い“宅地見込み地”」についてです。
宅地見込み地とは、農地地域、林地地域などから宅地地域へと転換しつつある地域にあって、宅地への転用が法律的にも実態的にも可能な土地をいいます。現況が山林でも、近隣地域に住宅が建ち、住宅の建設に適した土地であれば、宅地見込み地となるのです。つまり、宅地見込み地は将来的に宅地となる可能性が高く、土地の評価も上がることが容易に想像できます。
土地連の会員組織である地主会に加入すると、地主会から米軍基地の軍用地単価一覧表が郵送されてきます。そこには、宅地、雑種地、農地、山林などの地目ごとに分類された単価が記載されています。しかも、前年度と比較して、何%上昇したのか一目で分かるようになっています。
図表2の施設・所在地別単価一覧表をご覧ください。私が所有している沖縄市内の嘉手納弾薬庫地区の宅地見込み地の1m2当たりの単価は、2019年度1170.18円から2020年度1184.11円と1.19%の上昇。一方、宅地は1763.38円から1769.38円と0.34%の上昇で、宅地見込み地の上昇率に比べると約4分の1しかありません。また、同じ沖縄市内の嘉手納飛行場宅地見込み地でも、1m2当たりの単価が1625.88円から1641.40円と0.95%の上昇しているのに対し、宅地は1982.76円から1989.50円と0.34%の上昇。やはり宅地見込み地の上昇率に比べると約3分の1しかありません。
宅地見込み地と宅地を比べると、地料の1m2当たりの単価そのものは宅地のほうが高いものの、上昇率は宅地見込み地のほうが高いことが一目瞭然です。上昇率が高ければ高いほど、利回りは上がっていくので、「軍用地料の値上がり率が高い“宅地見込み地”」は狙い目なのです。
嘉手納弾薬庫地区の読谷村をご覧ください。読谷村の宅地見込地の上昇率が際立って高い数値を示しています。読谷村は沖縄本島中部、西海岸に位置します。那覇空港より、58号線を北上して約60分で到着するとことができます。名所、旧跡としては世界遺産の座喜味城跡(琉球王国のグスク及び関連遺産群)、残波岬などがあります。
読谷村の人口は約4万2千人。日本一人口の多い村で、県外からの移住者も多く、人口増加が見込める地域です。同村の嘉手納弾薬庫の返還跡地の一部で、国道58号の東側に広がり、区画整理が2009年度から進められています。国道沿いには飲食店などがオープンし、大型商業施設も完成しています。国道を挟んで東西に広がる静かな住宅地で、利便性が良くファミリー層に人気。したがって、土地の評価も下がることなく、軍用地料も徐々に上がり続けていくともっぱらの評判で、同村の嘉手納弾薬庫は他の市町村に比べて、高い倍率で取引されています。
仲里 桂一
軍用地投資コンサルタント
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