(※写真はイメージです/PIXTA)

2度の造血幹細胞移植を経て、2019年春に復職を果たした私立学校の理科教員、向井健一郎氏。本記事では発症時の実体験を紹介していきます。

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その日は突然にやってきた

2015年7月27日の朝6時ごろ、私は大量の汗と背中の強い痛みを感じて、いつもより早く目覚めました。あまりの異常な事態に横で寝ていた妻を起こして「何かおかしい、背中が痛い」と告げました。

 

妻は普段はあまり寝起きが良くないほうですが、この日はめったに弱音を吐かない私が「背中が痛い」と言ったのでとても心配して、「すぐに病院に行ったほうがいいよ。救急車を呼ぼうか?」と言いました。

 

どうしたらよいか少し考えましたが、私はこれは通常の病気(熱中症や内臓の病気)ではないなと考えて、「救急車ではどこに運ばれるかわからないので、京大病院に自分で行く」と伝えました。

 

今から思えば、この日の約1ヵ月前から昼も夜も汗が多く出ていました。ただ、私は汗かきのほうだったので、「今年の夏はいつもより少し汗が多いかな」程度に思っていました。さらに、この日の1週間前から食欲も減っていて体調もあまり良くありませんでした。けれど、これも「今年は夏バテになってしまった」くらいに感じていました。

 

それでもこの日の朝は、「これは今までと違う、何かおかしい」と自分でも感じるほどの状態でした。

紹介状のない患者は受け付けない方針だったが…

京大病院(京都大学医学部附属病院)をすぐにネットで調べると、受付は朝8時45分からとのこと。早めに行ったほうがよいと思い、8時ごろに家からタクシーで病院に向かいました。

 

京大病院では紹介状のない患者は受け付けない方針ですが、5000円を支払うことによって当日でも診察してもらえるということでした。たぶん、このようにしないと大した病気でもないのに一般の病院に行かないで「とりあえず京大病院に行こう」という人で溢れてしまうということだと思われます。

 

京大病院に着いたら、まず総合案内所に行きました。私は、「何科の病院に行っていいかわからない症状だったので京大病院に来ました」と事情を話して、5000円を支払って診察してもらうことにしました。

 

受付窓口で自分の症状について書く問診票を渡され、痛みが背中だけでなく胸にも移っていたので「胸が痛い」と書きました。そうすると「心臓の疾患かもしれませんね」ということで、すぐに診察してもらえることになりました。「胸が痛い」と書いておいてよかった。書かなかったら何時間待たされたかわからないと思いました。

手際よく検査が進むなか、私服が汗でびしょびしょに

診察にはまず、循環器系の外来診察室へ通されました。簡単な問診票に答えた後で、血圧や心電図・血液検査・レントゲン検査・CTスキャンなどが手際良く行われました。

 

ただ、その間にも汗はどんどん出ていて、自宅から着てきた私服は自分の汗でびしょびしょになっていたので、私は病院の衣服(病衣)に着替えさせてもらいました。

 

その後は昼ごろまで循環器系外来の診察室のベッドでしばらく待っていると、循環器系担当の医師が来て、「心臓や動脈には問題がありません。ただ、肝臓や脾臓が少し腫れているようなので、午後からは消化器内科のほうで診てもらいましょう」と説明してくれました。

 

まずは心臓ではないと聞いてひと安心しましたが、「でもこの痛みは何なんだろう」と少し不安が残りました。

 

午後になると、消化器内科の診察室へ移ってエコー検査などを行い、とりあえず消化器内科の病棟で入院することになり、その手続きを行いました。

 

痛み止めの薬を飲んだので少し痛みは治まりましたが、病名が確定しないことが気がかりです。「こんなに多くの検査をしているのに、なぜ病名が見つからないのだろう」と心配になりました。

消化器内科の病棟の大部屋に入院することに

結局、消化器内科の病棟の大部屋(4人部屋)に入院することになりましたが、入院の必需品(歯磨きセットや着替えなど)はまったく用意していなかったので、妻がコップや歯ブラシ・タオルなどをまとめて持ってきてくれました。

 

夕ご飯は病院のものを食べ、ベッドの上で横になりましたが、「これからどうなるのだろう」と考えながら、少しウトウトしているうちに疲れていたのかそのまま寝てしまいました。

 

「これからどうなるのだろう」(画像はイメージです/PIXTA)
「これからどうなるのだろう」(画像はイメージです/PIXTA)

 

翌日の朝に、もう一度血液検査とエコー検査などを行いました。消化器内科の医師からは、

 

「肝臓や脾臓は少し腫れているが、これが痛みの原因とは考えにくいです。最初のCTスキャンの画像を見ると、リンパ腺がいくつか腫れているところが見られたので、午後からは血液内科で診てもらいましょう」という話がなされました。私は「血液内科」とは初めて聞く名前だったので、これは何の病気だろうと思っていました。

 

午後、病室が血液内科の病棟へ移り、血液検査と骨髄液検査を行いました。この骨髄液検査というのは、背中の下側(お尻のあたり)の大きな骨である腸骨にボールペンの芯くらいの太い針を刺して、硬い骨に穴を開けてなかにある骨髄液を吸引して調べる検査です。

 

麻酔注射を打ってから開始されるのですが、刺すだけでもとても痛くて、さらに骨髄液を吸引するときは何とも表現しにくい痛さでした。白血病の治療で何回か行われる検査ですが、とても痛い検査の一つです。

 

採取が終わって、麻酔がとれるまで病室で約1時間は安静にしていましたが、この間の看護師や医師の言動に何かを隠しているような怪しい雰囲気を感じて過ごしていました。結局この日も病名はわからず、病院に泊まることになりました。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ボクは、笑顔でできている~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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