増益率並みの株価上昇を見込むのが妥当に思われる
次に、インフレと企業業績の連動性を見ておきます。
【図表2】をぱっとご覧ください。すると【青色のライン】と【オレンジ色のライン】の連動が確認いただけると思います。
【青色】は先進国株式全体の予想1株利益の伸び、【オレンジ色】はアメリカのインフレ率です。すなわち、アメリカのインフレ率が高いときは、アメリカの景気が良いときですから、先進国全体の企業業績も高い伸びを示します。
【画面真ん中】に【水平の黒い線】を引いています。その線に沿って【左右の軸】を眺めていただくと、おおむね【右軸】インフレ率が2%のときに、【左軸】業績の伸びが10%程度です。
前回のエントリーで見たように、マーケットエコノミストによる予測中央値に従うと、来年は1年を通じてインフレ率が2.5%を超える見通しです。言い換えれば、【図表2】で見た「7%台後半」や「8%台」のアナリストの業績予想値は、幾分「保守的」に映ります。
この両者の差を埋めるのは、
①原材料や製品、労働力の不足が売上高に悪影響を及ぼすリスク
➁新型コロナウイルスの感染再拡大
でしょう。逆に言えば、そうした可能性はすでにある程度、織り込まれているように見えますから、先のアナリスト業績見通しは下方修正のリスクよりも、上方修正のリスクが大きいと考えています。
「2022年を通じて、どの程度の株価上昇を見込むか」については、
①業績のアップサイドリスク
➁利上げによる株価収益率(PER)への下押し圧力
を考慮し、「現在の保守的なアナリスト予想並みが妥当」(=8%前後の株価上昇率見通しが楽観的すぎない予想であろう)と、筆者は考えています。株式市場の変動性については、利上げ見通しが行ったり来たりすることで、少なくとも今年よりは大きいだろうと予想しています。