セクター・サイズ・地域別、2022年の株式市場見通し
2022年の「セクター」:バリュー系セクターが優位
セクターについて考えます。【図表3】に示すとおり、インフレ時には、テクノロジー系のセクターに比べて、バリュー系のセクターの業績が相対的に良好になる傾向があります。しかし、現時点では、企業アナリストは、【オレンジ色】インフレ率が示唆するほど、【青色】バリュー系のセクターの業績が優位になると見込んでいません。
ただし、アナリストのEPS引き上げはまだでも、マーケットのほうはアナリストに先んじて株価収益率・PERに織り込んでいる可能性がありますので、【図表4】のとおり、相対PERを確認しておきますが、依然として、バリュー系のセクターは割安です。
2022年の「サイズ」:小型株式が優位
次に、サイズについて考えます。これもセクターと同様の議論で、【図表5】に示すとおり、インフレ時には、大型株式に比べて、小型株式の業績が相対的に良好になる傾向があります。しかし、現時点では、企業アナリストは、【オレンジ色】インフレ率が示唆するほど、小型株式の業績が優位になるとは見込んでいません。
セクターと同様に、相対PERを見ておきますが、依然として、小型株式は割安です。
2022年の「地域」:先進国株式(米国を除く)が優位
最後に、地域を考えます。【図表7】に示すとおり、2007年頃まで、インフレ時には、米国株式に比べて、先進国株式(米国を除く)の業績が相対的に良好になる傾向がありました。しかし、それ以降は、インフレとの連動性は薄れ、米国株式の予想EPSが長く優位でした。現時点でも、企業アナリストは、先進国株式(米国を除く)の業績が優位になるとは見込んでいません。
相対PERでは、先進国株式(米国を除く)が割安で、米国が割高な状況が続きます。
まとめると、地域については、先進国株式(米国を除く)の業績反発を期待したいところですが、米国株式の業績優位が続く可能性も否定できません。一方で、米国株式は依然として割高であることから、先進国地域については「中立」と見ています。
筆者は2022年も高いインフレ率が続くと見ており、「バリュー系セクターが優位、小型株式が優位、地域については中立」と見ています。これらをひっくり返すと「米国の大型テクノロジー株式以外に分散投資」をすることが一案と考えられます。