人間が骨折した場合と同じように、ペットの骨折も患部を固定し、安静にすることで骨がくっつきます。しかし、動物はギプスで骨を固定することができないため、骨がなかなかくっつかず、最悪の場合骨が溶けてしまうこともあります。獣医師として数々の動物の命と向き合ってきた中村泰治氏が、ペットが骨折してしまった際の治療法を解説します。

開放骨折など、重度の骨折に使用される「創外固定法」

プレートではなくネジのついたピンを骨に刺して固定する「創外固定法」と呼ばれる方法もあります。これは、長いピンを数本、骨に刺して、皮膚の上から固定する治療法です。骨が外に飛び出てしまっているような骨折(開放骨折)や、骨が粉々になってしまっている粉砕骨折、骨折の場所が関節に近かったりプレートが挿入できないケースなどでこの方法を用いることがあります。

 

メリットは、骨折した場所を切開する必要がないため、動物の体への負担が小さくて済むことです。また、皮膚や筋肉を大きく切り開かないので、血液の供給を断つことがなく新しい骨がすばやく作られるため、開放骨折の初期で使用可能です。

 

一方でデメリットとしては、治療中は皮膚から金属が飛び出した状態になってしまうこと、骨折線をピタリと合わせることが困難であり変形が残る可能性があること、長期間は入れておけないので癒合まではもっていけないこと(途中でプレートに切り替える必要がある)、使用できる骨がかぎられていることから、動物ではあまり用いられません。

 

動物によっては飛び出した金属を非常に気にするケースもありますし、見た目もあまり良いとはいえません。

 

 

中村 泰治

獣医師

 


 

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※本連載は、中村 泰治氏の著書『もしものためのペット専門医療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

もしものためのペット専門医療

もしものためのペット専門医療

中村 泰治

幻冬舎メディアコンサルティング

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