自民党税制調査会、議論開始…富裕層優遇措置廃止の場合の代替法【税理士の解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

自民党税制調査会の協議が開始されました。さまざまな注目ポイントがありますが、そのなかのひとつが「住宅取得等資金の贈与税の非課税が延長されるか否か」。延長が行われなかった場合でも、納税者が取れる対策はあるのでしょうか? 注意点について、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士が解説します。

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自民党税制調査会での議論がスタート

令和4年度の税制改正大綱のとりまとめに向けて、11月26日から自民党税制調査会での議論が始まりました。相続税関係では暦年贈与と相続時精算課税贈与の見直しがいつから行われるのかが実務家の間でも最も関心の高いところで、早ければ来年4月から改正があるという噂を耳にします。

 

また、2021年12月31日までの時限立法となっている住宅取得等資金の贈与税の非課税についてはその延長が行われるのかも注目を集めるところです。

住宅取得等資金の贈与税の非課税とは

まず住宅取得等資金の贈与税の非課税がどのような制度なのかを確認します。下記は国税庁のホームページに掲載されているタックスアンサーからの引用です。

 

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下、「非課税の特例」といいます。)。

 

2021年中にこの制度を利用していた場合、最大1,500万円(別途基礎控除110万円も適用可能)までの贈与について贈与税が非課税になります。仮に1,500万円を暦年贈与した場合、非課税の適用がなければ贈与税は366万円もかかりますので、実質的な手残りは1,500万円△366万円=1,134万円になってしまいます。

 

タイミングさえ合えば贈与税もかからず、相続税対策にもなる点で非常に有効な生前贈与の特例として、何度も適用期間の延長が行われてきました。この有効な贈与税の特例がもしかすると延長されず、今年いっぱいで終了してしまう可能性があります。

日本の税制のトレンド

国は財政収入の不足から、近年では消費税の増税を行いました。国民全体に影響のある大きな改正だったため、増税時期を何度も延長しながら慎重に増税したことからも、所得の少ない人に増税することについて政府は非常に慎重な姿勢を持っているようです(所得の少ない方の生活を守る観点からもある意味当然とも言えます)。

 

一方、給与所得控除の縮小については所得が高い一部のサラリーマンが対象となることから、増税の余地があると見ているのか、特段改正の時期を慎重に検討したような様子はなかったように思われます。

 

つまり、高所得の方や資産家の方からでないと増税することは難しいと政府は考えているようにも思えます。そうすると、住宅取得等資金の贈与税の非課税のように、一部の富裕層や準富裕層を優遇する制度を順次見直していき、ここから税金をとるというのが現在の日本のトレンドと言わざるを得ません。国土交通省からは2021年8月に特例延長の要望が出ていますが、これが要望どおりとなるのか、12月中旬に出る税制改正大綱には注目です。

 

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税理士法人ブライト相続 税理士

埼玉県所沢市出身。2008年、みらい会計税理士法人(東京都豊島区)入社。中小企業の法人税・消費税申告、個人事業主の確定申告を中心に、記帳代行、給与計算、年末調整などの事業者向業務に従事。2011年、税理士法人レガシィ入社。200件超の相続税申告、税務調査対応、相続税還付、遺言や家族信託の組成に関する生前コンサルティング、金融機関を中心としたセミナー講師など、相続関連業務に幅広く従事。2020年、税理士法人ブライト相続入社。

著者紹介

連載実例で解説!相続専門税理士が教える「あなたに合った」相続対策

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