今回は、相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士が、「住宅取得資金の贈与の特例」について解説していきます。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」とは

相続税の節税のため「住宅取得等資金の贈与税の非課税」を活用することは、タイミングさえ合えば有効な節税方法といわれています。今回はその有効性について考えます。

 

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」は、父母(または祖父母)が子ども(または孫)の自宅の建築・購入資金を贈与した際、贈与税を非課税とする制度です。贈与税が非課税となる一方、贈与者の財産を減らす効果があるので、結果として相続税の節税ができます。

 

この制度は贈与の時期によって非課税となる金額が変わりますが、現在(令和2年4月1日から令和3年3月31日まで、消費税10%の場合)は省エネ住宅であれば1,500万円(省エネ住宅以外は1,000万円)まで贈与税が非課税になります。暦年贈与の基礎控除110万円(相続時精算課税を選択すれば特別控除2,500万円)に上乗せすることができますし、子どもや孫が住宅購入するタイミングと合えば、非常に有利な制度といわれています。

「住宅取得等資金の贈与」によるメリット

では令和2年8月時点に、この制度を活用した場合のメリットはどの程度でしょうか。

 

贈与者に相続税額が生じる財産規模である場合、省エネ住宅として1,500万円の贈与をすると、1500万円×10~55%(相続税が課税されるなかで最も高い税率)分だけ、将来の相続税が減少することになります。金額にすると150万~825万円です。

 

この制度を利用するには贈与税の申告をしなければなりません。自分で申告するのであればコストはかかりませんが、税理士に依頼した場合は税理士報酬がコストとなりますので、その分は差し引いで考える必要があります。

 

また、住宅取得等資金は「お金」を贈与するので、お金の贈与に登録免許税や不動産取得税はかかりませんが、不動産を「新築」「購入」した子どもにこれらは課税されます。

 

贈与のメリットは?(※写真はイメージです/PIXTA)
贈与のメリットは?(※写真はイメージです/PIXTA)
次ページ親が子どもの自宅を建てた場合の節税効果は?

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録