事業承継に踏み切れない経営者が多い理由とは?
中小企業が直面する事業承継は、一筋縄ではいきません。それらをくぐり抜け事業承継を成功に導くためには、十分な準備を行うことが最良の手段です。
とはいえ、実際に事業承継の計画を立てるとなると、意欲がしぼんでしまうという方も多くなります。その理由として第一に考えられるのが、特に中小企業においては承継にかける時間がないということでしょう。中でも「後継者を育てる時間がない」ことが、具体的な事業承継へと踏み切れない大きな足かせになっていると考えられます。「2013年版中小企業白書」の「後継者の養成における障害」のデータを見ると、やはり時間的な問題が抜きん出て高い数字となっています。
「短期間で失敗せずに」が事業承継の大前提
経営において、中小企業ではあらゆる部分で手腕を発揮するカリスマタイプの経営者の方がとても多いのは事実です。経営者の八面六臂の働きが中小企業の大きな核と言えるでしょう。
その中で事業承継を行うというのであれば、当然、「短期間で失敗せずに」が大前提です。そこで本連載の最大の目的はすでに提示した通り、1年での事業承継を可能にする手順をご紹介することです。
通常、事業承継には3〜10年の準備期間が必要と言われています。ところが、事業を続けてきた経営者の方ならばお分かりいただけるでしょうが、時間があり余るほどあり、多くの時間をかければ物事を十全に完了できるという中小企業経営者はほとんどいないというのが実情でしょう。
通常は最低でも3年と言われる事業承継を1年で達成するわけですから、時間不足は否めません。その結果、当然ながら効率的に行うことが不可欠です。求められるのは、まずは正しい手順を踏むことです。そして、やるべきことを絞り込むことです。あれもこれもと欲張って手を広げては到底達成には至らないどころか、進めていくうちに次々と課題が発生し、いつまでたっても完了できないという負のスパイラルにも陥りかねません。
次回は、承継に必要な準備を7つのステップに分けてご紹介します。
【図表 中小企業の事業承継に関するアンケート調査】