(※写真はイメージです/PIXTA)

「人生鳥瞰図」は、過去から現在に至る自分の人生の棚卸しを行い、未来に向けた人生戦略を立て、ライフデザインを描きます。来し方をなぞり、行く末を見通すための自分とのコミュニケーションだといいます。※本連載は、久恒啓一氏の著書『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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図解コミュニケーションが必要なワケ

■「人生鳥瞰図」は自分とのコミュニケーション

 

壮年期に向けた人生戦略策定の第一歩、人生鳥瞰図の作成に入ります(下図)。

 

ビジネスに必要なコミュニケーション能力は、「理解する(理解力)」「考える(企画力)」「伝える(伝達力)」の3つで成り立っています。図解はそのためのきわめて有効な手段であり、それを私は図解コミュニケーションと命名しました。

 

その意味では、人生鳥瞰図は自分を理解し、自分について考え、そして、自分に伝えるという、自分とのコミュニケーションのためのツールといえます。

 

過去から現在に至る自分の人生の棚卸しを行い、未来に向けた人生戦略を立て、ライフデザインを描く。来し方をなぞり、行く末を見通すための自分とのコミュニケーションです。

 

人生鳥瞰図は、大きく、「人生テーマの発掘」と「ライフデザインの構築」の2つのパートから成り立っています。そして、「人生テーマの発掘」は、自らの「価値観」を導き出す部分と、「自分像」を確認して「私に合った仕事」を明らかにする部分からなっています。

 

この人生鳥瞰図は、一度にすべてができあがったわけではなく、完成するまでに各部分ごとに何段階かを経て、トータルで数年を要しています。それぞれの部分は、私が大学教授としての職務を遂行するうえで、必要に迫られて作成したものでした。

 

ここで、経緯をたどってみたいと思います。人生鳥瞰図の構造がよく理解できるはずです。

 

【図】人生鳥瞰図

 

■「人生鳥瞰図」はどのようにして生まれたか

 

私は47歳で、新設されたばかりの県立宮城大学の教授となり、「知的生産の技術」という科目を担当することになりました。

 

「知的生産の技術」は、ビジネスパーソンの勉強会である「知的生産の技術」研究会では実践と研究を重ねてきましたが、大学の科目として扱うのは日本でも初めてのことです。私は何をどのように教えればいいか迷い、いろいろ考えた末、思いついたのが、学生に「自分史」を書かせることでした。

 

過去の自分を振り返ることは、未来の自分を映し出すことにもなります。自分史は、年をとってから書くものだと思われがちですが、学生にも20年近い人生の軌跡があり、若者なりの自分史が書けるはずだと考えました。

 

では、どのようにして自分史を書かせるか。そこで導き出したのが、「生い立ち」と「出会い」と「出来事」の3つによって、自分の「価値観」が決まるという仮説でした。

 

子どものころ、小中学生のころ、高校生時代……と順に振り返りながら、自分はどのような環境に生まれ育ったのか、自分に影響を与えた先生たちや友人たち、あるいは、本や映画や音楽との出合い、思い出に残る出来事などを、思い出していきます。それらは、自分の価値観に強く影響したはずだからです。

 

授業では、毎週、瞑想から始めました。時代を追いながら、記憶をたどり、思い浮かんだことを一つ一つメモしていく。いろいろな思いが脳裏によぎるのか、目に涙を浮かべる学生も出てきました。

 

こうして、「人生鳥瞰図」の左上の方の部分の元になる図が生まれました。

 

次ページ学生の就職指導から考案した「5W2H」の方程式
50歳からの人生戦略は「図」で考える

50歳からの人生戦略は「図」で考える

久恒 啓一

プレジデント社

「人生鳥瞰図」で仕事も人生もうまくいく! 大人のためのキャリアデザインの教科書。 私は日本人の「アタマの革命(図解)」と「ココロの革命(遅咲きの人物伝)」の二つをライフワークとしている──。 こう語るのは、…

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