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壮年期に向けて「人生鳥瞰図」を描く意味
人生鳥瞰図において、前半のパートの「人生テーマの発掘」はこれから就職する人が志望先を選ぶための図解であり、後半のパートの「ライフデザインの構築」は、就職した人がこれからのキャリア目標を考えるための図解です。
(「50歳から仕事も人生もうまくいく!『人生鳥瞰図』の描き方」の文中の【図】人生鳥瞰図参照)
この人生鳥瞰図を、40~50代の読者が「壮年期」に向けて作成し、人生の棚卸しをする意味はどこにあるのでしょう。
読者の多くは、企業・組織で働いていることでしょう。20代のころに「私に合った仕事」として選んだ就職先でいまも勤務している方もいれば、その後、転職した方もいるでしょう。
いま所属する企業・組織での仕事にやりがいを感じ、これからも続けていきたいと考えている方は「人生テーマの発掘」は必要なく、「ライフデザインの構築」のパートで、これまでのキャリアを振り返り深く掘り下げながら、単にその延長線上ではなく、次の展開に向けて、これからのキャリア目標を考え、「天職」を探っていくことになります。
一方、いまいる企業・組織での仕事が自分の天職からはほど遠く、同じテンショクでも、「転職」を考えている場合は、本来は初めて就職する人に向けて作成された「人生テーマの発掘」のパートに戻ることになります。そして、「自分像」を確認するところから始めてもいいし、さらにさかのぼり、「価値観」を明確にするところから始めるのもいいでしょう。
20~30代と40~50代とでは、価値観や自分像が変化していることがあります。
経験が豊富になれば、能力も、関心の対象も変化します。基本的な性格は変わらなくとも、性格のあらわれ方が変わってくることもあります。
また、価値観のもとになる生い立ちについても、たとえば、親に対する考え方が、自分自身子を持つ親の身になってから変わり、それにより価値観も変化する可能性があります。
価値観や自分像が変化する場合、導かれる「私に合った仕事」も変化しているはずです。転職して始めようと考えている仕事と、その「私に合った仕事」が合致していれば、その転職は「天職への道」につながるかもしれません。
もちろん、いまいる企業・組織でこのまま仕事を続けるか、それとも転職するか、迷っている方もいることでしょう。その場合も、「人生テーマの発掘」を改めて行い、「私に合った仕事」をリストアップしてみれば、いまいる企業・組織がそれと合致するのか、ズレがあるのか、図上でシミュレーションすることもできるわけです。
このように、人生鳥瞰図は、自分とのコミュニケーションを通して、「個」としての自分を再発見し、自分で自分のキャリアカウンセリングをするためのツールといえるのです。