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ペットのいま…家族同然の「コンパニオンアニマル」へ
ペットに対して「コンパニオンアニマル」という呼び名を使うことがあります。コンパ
ニオンアニマルとは、伴侶動物のことをいい、ペットを単なる愛玩動物ではなく、家族同
然に大切にするという考え方から、この呼び名が広がりました。
人間とペットの関わりは、時代とともに大きく変化しつつあります。戦前までは、犬も猫もそれぞれ役割があり、その役割を果たすために飼育されてきました。
例えば犬は自宅を守る番犬の役割、また農作物を荒らす動物を追い払う、あるいは狩猟のパートナーとして働きました。猫も同様に、ネズミなどを捕獲する役割を期待されて飼育されることが大半でした。
このように、人間の作業に役立つ動物だった頃は、犬や猫は「使役動物」と呼ばれる存
在でした。
戦後は、動物を家族同然に大切にする欧米の文化が入ってきて、使役動物ではなく愛す
べきペットとして動物を飼う文化が広がっていきました。
犬猫の頭数は子どもの数をはるかに上回る!
このような背景もあり、動物は使役動物からかわいがるための愛玩動物として、広く一般家庭へと浸透していきました。また、高度成長期を通じて日本が豊かになるにつれて、ペットの存在は家族の一員へと変わっていきました。
内閣府が2010年に行った動物愛護に関する世論調査では、多くの人にとってペットをかわいがることが身近になっていることが分かります。
例えば、「ペットが好きか嫌いか」の問いに対しては、72.5%が「好き」(「大好き」23.4%、「好きなほう」49.1%)と回答。「嫌い」(「嫌いなほう」21.8%、「大嫌い3.3%)の25.1%を大きく上回っていました。
2003年の調査と比べると、「好き」の割合が65.5%から72.5%へと上昇する一方で、「嫌い」の割合が31.7%から25.1%に低下するなど、ペットをかわいがることが広く一般的になってきたことがうかがえます。
自宅で犬や猫などのペットを飼っているかどうかについては、「飼っている」と答えた人の割合が34.3%、「飼っていない」と答えた人の割合が65.7%となっていて、3人に1人がペットを飼っていることが分かります。
ペットの飼育数については、一般社団法人ペットフード協会が行っている詳細な調査によ
ると、2020年時点で日本においてペットとして飼育されている犬は約848万9000頭、猫が約964万4000頭となっています。
犬については、2016年には約935万6000頭だったのに対して、5年間でおよそ90万頭減っていることが分かります。一方で猫は2016年が930万9000頭だったことから、30万頭ほど増えています。
犬と猫を合わせた頭数は約1800万頭に上り、これは日本の15歳未満の子どもの人口である約1500万人を大きく上回る数字です。少子高齢化が進む日本では、すでに子どもの数よりもはるかに多くのペットが飼われているのです。
ペットの呼び名がコンパニオンアニマルという言葉におき換わりつつあるように、すでにペットは単なる所有物ではなく、大切な家族であり、友人であり、パートナーとなっているのです。
大きく変わる飼育環境…不妊・去勢手術があたりまえに
ペットを家族の一員とみなすように意識が変わってきたことに対し、ペットの飼育環境も大きく変化してきました。
例えば猫は、かつて室外での放し飼いが一般的でした。しかし、今では特に都市部では猫の室外での飼育はあまり見かけません。猫を室外で放し飼いにするリスクが浸透してきたことや、近隣住民への迷惑になることを心配するようになってきたからだといえます。
室外に出る猫は、交通事故や感染症などの病気のリスクが非常に高くなります。また、公共の場などで糞や尿をするなど、近隣トラブルの原因にもなってしまいます。しかし、猫は室内飼いでもさほどストレスを感じることなく、健康的に過ごすことができるのです。
犬についても、現在では多くの自治体で放し飼いを禁止し、散歩中もリードの徹底が求められます。
不妊手術や去勢手術も一般的に行われるようになりました。環境省の報告によれば、1979年には犬の避妊・去勢手術は7.7%だったのが、2011年には44%に増えています。猫についてはもっと増加率が高く、1979年には10.7%だったものが、2011年には約83%に増えていました。現在はさらに手術を受けていると予測されます。
避妊・去勢手術については「かわいそう」と考えて、行わない飼い主もいます。しかし、避妊・去勢手術を受けることによって、望まない妊娠を防ぐことはもちろんのこと、メスであれば子宮がんや乳がんなど、オスであれば会陰ヘルニアや前立腺肥大など、生殖器系の病気を予防できるというメリットがあります。
また、オス特有のマーキング行動やメスでは発情期の鳴き声が少なくなるようです。
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