コロナ禍でペットを飼う人が増えた現在。一般社団法人ペットフード協会によると、2020年時点で3人に1人が犬または猫を飼っているといいます。ペットを飼う人が増えたことにより、飼育環境はどのように進化しているのか、みていきましょう。※本記事は、中村泰治氏の著書『もしものためのペット専門医療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

ワクチンが普及し、感染症による疾患も減少

ワクチン接種も広く普及してきました。犬であれば狂犬病は法律で義務化されていますが、義務化されていない犬ジステンパーウイルスや犬パルボウイルスなどの混合ワクチンの接種も多くの犬を感染症から守っています。

 

フィラリアという病気で死ぬ犬も激減しました。フィラリアとは、蚊が媒介して起こる寄生虫の病気です。フィラリアが犬の肺動脈や心臓などの臓器に寄生し、全身の血液循環などに深刻な影響が出ます。一度、臓器がフィラリアに感染すると、完全に元に戻ることは難しいとされる恐ろしい病気の一つです。

 

しかしフィラリアは予防薬を飲むことで防げるので、かつてよりも発症するペットが大きく減りました。

 

猫については、ウイルス性鼻気管炎やカリシウイルス、汎白血球減少症など、重篤な感染症を防ぐ予防接種は、コアワクチンとして強く接種が推奨されています。私自身、26年前に獣医師の免許を取得し、22年前に開業しましたが、当時に比べると感染症で亡くなるペットは激減したと実感しています。

 

また猫については、室内飼いが一般化した影響か、猫エイズをはじめとする感染症にかかる猫が減少傾向にあるように思いますし、ノミだらけになっている猫にもあまり遭遇することがなくなりました。

多様化するペットの食事で、健康寿命がアップ

ペットの食生活も大きく変化したことの一つです。かつては、犬や猫に人間の残飯などを与えることがよくありました。例えば、みそ汁にご飯を入れたものや、人間が食べ残した野菜や肉、魚の切れ端を与えることもごく一般的でした。

 

しかしこのような食事の与え方は、ペットにはよくありません。なぜなら、人間の食事には、塩分などが多過ぎることがありますし、そもそも栄養過多のケースがあるからです。

 

さらには、人間が食べても問題がないものの、犬や猫には深刻な中毒症状を引き起こす食材もあります。例えばチョコレートや玉ねぎ、ニラ、にんにく、レーズンなどは、人間が食べても何も起こりませんが、犬には深刻な中毒症状を引き起こすことがあり、最悪の場合、死に至るケースすらあるのです。

 

そこで、動物にとってベストな食事をさせるために、犬専用、猫専用のペットフードを与えることが主流です。ペットフードの種類についても、40年前は大型犬にも小型犬にも、あるいは子犬にも老犬にも同じものを与えていましたが、今では犬種や年齢などに応じてさまざまな種類が販売されています。

 

病気療養に使用する療法食も充実

 

ペットフードは大きく分けて、主食となる総合栄養食と、いわゆるおやつとして用いられる間食用のものなどに分けられます。

 

総合栄養食は、ペットの成長や健康に必要な栄養素がバランスよく含まれた食事で、基本的に総合栄養食となるペットフードと水で十分な栄養が取れるように配慮されています。

 

間食用ペットフードは、おやつやごほうびとして使用されます。ガムやスナックなどさまざまなタイプがあり、ペットの好むものを選ぶことができます。

 

これら以外にも療法食という種類のペットフードがあります。療法食とは、特定の病気や健康状態にあるペットの栄養面からのサポートを目的としたペットフードです。

 

例えば、腎臓病用にリンやたんぱく質を減らしたフードや心臓病用にナトリウム量に配慮したフード、尿結石対策としてナトリウムやカルシウム量などを調整したフード、特定のアレルゲンを除去したアレルギー対応食までさまざまです。

 

 

中村 泰治

獣医師

 

 

 

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