(※画像はイメージです/PIXTA)

通中学受験専門カウンセラー安浪京子 × 教育ジャーナリストおおたとしまさ。「そもそも学校にいかずに中学生のうちから東大受験専門塾に通って鍛えるのが一番強い」と教育ジャーナリストのおおた氏は指摘します。言葉の真意とは。 ※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

熾烈な男女御三家の1340脚の椅子とりゲーム

■「全入時代」でも塾は上を目指させる

 

安浪 教育虐待の原因として、中学受験者数の増加を挙げるのは間違いだという指摘がありましたが、おっしゃるとおり、中学受験はほぼ「全入状態」です。でも、大手塾は「全員どこかに入れますよ」という言い方は絶対にしません。とにかく上を目指させるので、特に上の層が過熱してしまう。

 

おおた そうですね。全体を見れば全入なのに、一方で熾烈な「男女御三家の1340脚の椅子とりゲーム」(男女御三家と呼ばれる最難関校の募集人数は合計で1340人)が起こっている。メディアはそこばかりクローズアップするんです。

 

安浪 でも2020年の入試は、今までとちょっと変わった部分もありました。最難関校が一番手、中堅校が二番手だとすると、最難関校を目指してきた家庭が安全策をとり、一・五番手の学校(難関校)に流れてきたんです。そこで従来、難関校に合格できる子たちができなかった。

 

おおた 最難関校のなかでも御三家のような別格ではない学校という意味での一・五番手というニュアンスですね。例年であれば御三家を受けるような層が、一・五番手校を受けたから、その下の層が押し出されてしまう形で玉突き事故が起きたわけですね。

 

安浪 そうなんです。それで、本郷とか城北あたりに、いつも受かる子たちが受からなかった。

 

おおた 原因は?

 

安浪 理由は2つ考えられます。1つは、一人っ子が増えて安全志向の親が増えたこと。もう1つが、塾の作戦ミスです。

 

おおた 作戦ミスとは?

 

安浪 大手塾が「やっぱり御三家から見える景色はきれいだよね」とぽんぽんぽんと受験校のパッケージを作って提供したら、残念な結果になってしまった。塾の言うとおりにせずに、自分たちで情報を集めて、「いやいや、一・五番手の学校から見る景色のほうが好きだわ」と思えたおうちは大丈夫だった、という感じですよね。

 

■「椅子とりゲーム」は男子と女子で激しさがちがう

 

おおた 全入時代と言ってもそこには注意が必要で、男女で状況がちがうんですよね。男子の総合格率は、今年は86.3パーセント。一方、女子は106.5パーセント。受験者総数でいうと、今年、男子が2万5653人、女子が2万3000人。実数でも男子のほうが10パーセントくらい多いですよね。男子は86脚しかないところに100人が集まっている。女子の総合格率は100パーセントを超えているから、どこかには入れる。

 

安浪 そうなんです。中学受験に対するご家庭の男女差はいまだにあって、男の子と女の子がいるご家庭でも「男子なら中学受験で最難関。女子は無理しなくてもいい」と。昔の「男子は4年制大学、女子は短大か専門学校」という価値観とかぶりますね。また、ガツガツ勉強しなくても入れる女子校はたくさんあるので「女の子には苦労させずのびのびしてほしいから中学受験」というおうちも多い。

 

おおた むしろ男の子もそれでいいと僕は思いますけどね。

 

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中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

中学受験では、親が子どもをサポートしようと一生懸命になるほど、無意識に子どもと一体化し、中学受験の迷信に縛られて子どもを追い詰めてしまいがちだ。子どもの人生は合格発表の瞬間に終わるわけではない。大人が子どもの受…

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