(※写真はイメージです/PIXTA)

まだまだしっかりしていると思っていた80代の母親が、妹にそそのかされ一部の不動産を売却していたことが判明。しかも妹は、売却代金が振り込まれた通帳まで持ち去りました。やりたい放題の妹の行動に、姉は不安を募らせています。一体どうしたらいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

可及的速やかに、母親へ遺言書作成を依頼する

調査の結果、妹が勝手に売却した不動産の代金は1500万円でした。それ以外にも預貯金が700万円程度ある見込みなのですが、預金通帳はすべて妹の手元にあり、まだ確認できていません。

 

 

それ以外の母親の資産は、支払いが完了している郵便局の養老保険1500万円、母親が住んでいる自宅の土地建物、吉田さんが自分名義で家を建てて暮らしている土地で、約7000万円程度です。

 

すでに妹と絶縁状態である以上、母親に遺言書を作成してもらうことが必要です。公正証書が望ましく、そのためには母親の意思確認が取れるか否か判断する必要があります。自分でサインができ、遺言書の内容を話すことができれば、遺言書作成は可能です。公証役場に出向けない場合は、自宅まで公証人と証人が出張して作成することもできます。

 

遺言書の作成に当たって確認すべきなのは、妹がどれくらいの財産を預かっているか、あるいは贈与を受けたかです。

 

手元に通帳がなければ取引明細を再発行してもらい、入出金を確認しておく必要があります。妹が預かっている金額がわかれば、それを遺産分割金とするようにします。

 

また、のちのトラブル予防のためにも、不動産を妹と共有するような遺産分割をしないことです。これらに留意したうえで、母親に遺言を用意してもらえば、不安は軽減できるでしょう。

 

財産を隠すような行為は、トラブルの種を作るようなものです。財産はできる限りオープンにして、相続人間で情報を共有することが重要です。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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