(※写真はイメージです/PIXTA)

分譲マンションの自室を他人に貸して家賃収入をえたい、リフォームしたいと考えている人は多いでしょう。自分の部屋とはいえ、勝手に人に貸したり、リフォームすることはできません。どのようなことに気をつけなればならないのでしょうか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

住民トラブルを回避するためには

専有部分の修繕等の承認申請は、区分所有者が行うべきこととなっているので、賃借人などの占有者が修繕等を希望するときは、賃貸借契約などを確認した上で区分所有者に対してその実施を申し入れ、区分所有者からその承認申請を行うこととなります。

 

専有部のリフォームにおける詳細なルール作りとして、専有部の設備の種類、マンション全体の電気の容量やガスの供給能管理などの個別の事情を考慮して使用細則を制定することが不可欠となります。

 

その場合、対象となるマンションの管理規約固有の規定などを考慮して、これと抵触し又は齟齬の生じる事がないように慎重を期する必要があります。

 

また、実務上理事会が承認をすることになっているが、設計図書や仕様書、工程表などを確認して結論を出すこともありますので、日頃から建築士やマンション管理士、マンションリフォームマネージャなどの専門家に相談できるネットワークを構築することお勧めします。

 

その他、トラブルが起きないように次の事項を細則で定めるとよいでしょう。

 

*承認申請の方式:申請書の様式・必要書類、提出の日時
*承認申請の審査及び却下:調査・審査・補正・脚下の判定
*工事計画に関する掲示等:居住者への周知方法、周知規定
*工事計画に対する調査等の申立て:他の区分所有者及び占有者が管理組合に調査又は 異議の申立てについての規定
*調査費用等負担金の納入:調査に係る費用の負担についての規定
*承認又は不承認の決定:専有部修繕の承認、不承認の判定方法及び規定
*承認の取消し等:専有部修繕の承認取消し事項の規定
*届出書類の保管等:届出書類の保管方法、保管期間、閲覧方法
*調査の委託:調査の委託についての規定、調査委託費用の負担方法
*紛争解決等の責任:紛争が起きた場合の解決、処理に関する規定

 

しかしながら、水漏れや火災等が発生し、その被害の修復のために迅速に専有部分の修繕等を行う必要が生じた場合には、例外規定として申請の添付書類を大幅に省略し、また工事計画の掲示及び調査等の申出の方式によらずに、原状回復の範囲内で容易に修繕等が実施できるよう規定を緩和することや、この場合に、更に承認申請期間や承認審査期間を短縮する定めを置くことも決めておく必要があるかもしれません。

 

専有部のリフォームといっても、壁紙を張り替える程度の模様替えなどリフォーム範囲が明らかに専有部分内に限定され、躯体への悪影響や近接住戸への影響のない工事については、承認を必要としないで届出だけですむような方法も効率的ではないでしょうか。

 

いずれにしてもマンション個別の事情を考慮して対応することが大切です。

 

松本洋

松本マンション管理士事務所代表

 

 

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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