対象物件の「今後の需要」を分析する
市場分析は、広いエリアから狭いエリアに狭めていって、最終的に対象物件とライバル物件に焦点を定めます。
最低限、過去のデータと現在のデータを見て、未来を予測することをお薦めします(下記図表参照)。プロであれば、『レインズ』という業者間の情報ネットワークがあり、そこで成約事例を見ることができます。
[図表]エリアの未来を予測する
投資家であれば、『アットホーム』『スーモ』といった不動産ポータルサイトを見ることで、募集物件数、賃貸相場も把握することができ、リアルタイムのデータを見ることができます。
中でもお薦めは『ホームズ』のオーナー向けサイト『ホームズ不動産投資見える!賃貸経営』です。空室率から賃貸相場などさまざまなデータが出ています。平均値となるため正確なデータではありませんが、需給バランスを見るための参考にはなります。
そうやってインターネット上で、築何年の物件が、いくらぐらいで募集が出ているというのを見ていくと、過去にどれくらいの家賃で入居が決まっているのか、どのようなスペックの物件に競争力があるのかといったものが把握できるようになります。
なお、ポータルサイトに掲載されているのは募集家賃であって、成約家賃(実際に契約された家賃)ではありません。
募集家賃と成約家賃の差は1000円、2000円といったところで大幅な乖離はありません。ただ、多少の交渉はありますから、募集家賃よりやや低いと考える方が安全です。
同じ地域でも、ピンポイントで家賃や需給は違ってきますので、実際にその物件の周辺を自分で調べます。そして、現在までのデータを把握することで、今後の需要を分析することができます。
管理会社に聞いた情報だけで判断はしない
また、地域の賃貸管理会社に聞くのもいいと思います。筆者が地方の案件を手掛ける際は、近隣の管理会社5~6軒に電話してヒアリングしますが、結構意見が割れるものです。「このエリアはいいですよ」という会社もあれば、「ここ客付け難しいですよ」という会社もあり、かえって混乱するような地域もあります。
管理会社の意見が分かれてしまう理由の一つとして、重要なポイントがあります。それは管理会社とオーナーの目標が違う場合が多いからです。オーナーは、資産を増やす、家賃収入を増やす等が目標ですが、管理会社の場合は入居率を上げることが目標なのです。
入居率を上げて満室を目指すことはオーナーと同じようですが、目標が入居率だけなので家賃の金額は下げてでも満室にした方が、管理会社としては目標を達成できます。ですので、ほとんどの管理会社はオーナーの本当の利益(資産、家賃収入)を考えていません。いかに家賃を低くして入居率を上げるかが目標なのです。
そのため、管理会社に聞いた情報だけで判断するのではなくて、前回説明した『都市データパック』で調べたこと、ウィキペディアで調べたこと、地名を検索してネットでいろいろ調べたこと、管理会社に何社か聞いて調べたこと、これら市場調査の結果を統合して判断すればいいのです。
市場分析の方法まとめ
●物件の特徴を判断する(資産を知る)
●近隣と地域市場の分析(競合物件を知る)
●競争上の優位性の判断(位置付けの評価)
●夜陰設定を行う(価格戦略の導入)