前回は、「地方の不動産」への投資について検証しました。今回は、そのときどきの「市況」に応じて、なぜ柔軟に不動産投資の戦略を変えていく必要があるのか、改めて解説します。

不動産の「売れ筋」は常に市況によって変化する

市況によって、売れ筋の立地、売れ筋の不動産には差が出ます。

 

少し前は、地方にあるRC造の一棟物件が人気でした。当時はまだ相場が上がりきっていなかったこともあり、利回りが高くキャッシュフローが出やすかったからです。

 

また地方のRCは積算評価がつきやすく、当時は高積算物件に融資をする金融機関が多かったこともあり、サラリーマン投資家が購入しやすい状況だったのです。

 

しかし、現状では相場全体が上がり、物件価格も高騰しています。このように値段が上がりきって利回りが低くなっている中では、地方RC物件はとてもお買い得とはいえません。

 

現在は、地方の中古RC物件に比べて、首都圏の新築木造アパートの収益性が高いという状況です。しかし、決して新築木造アパートの利回りが高いというわけではありません。実際のところ利回りで比べれば地方よりも低いのですが、首都圏の銀行からより安い金利で借りられることが強みとなります。

 

地方の築20年の物件と、新築で手がかからない物件となれば、明らかに新築の方がいいというのがここ最近の流れです。

 

ただ、家賃自体が高めに設定されている場合があります。新築が中古になる過程で家賃が下落する可能性が高く、これが新築のデメリットやリスクだと言えるでしょう。

状況に応じて投資の手法もどんどん変えていく

さて、不動産投資家は投資指標の一つとして「イールドギャップ」を使いますが、多くの人が誤解されています。

 

不動産投資は、アービトラージュ、つまり利鞘で稼ぐビジネスモデルだと解釈しています。原理原則でいえば、低い金利で借りて、高い金利で貸せばいいだけの話で、それが成り立つか成り立たないかです。

 

このように、市況によって不動産投資のやり方も変わり、人気の物件も変わってきます。「地方のRC造の一棟物件しか買わない」といった偏った投資観を持つ投資家たち、一つの手法で固定化してしまっている人たちは、市況動向がわかっていないのだと思います。

 

昔の市況でやって成功しているから、それが一番だと思い込んでいるだけで、今は市況が変わっているわけですから、考え方を変えなければいけません。

 

そのような観点でいえば、やはり、「○○を買え!」という断定的な人たちはプロではないと感じます。基本は、「何が一番いい」ではなく、今の市況で「いかに有利に進めていくのか」を考え、常に状況に応じた手法をとることが大事です。

 

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    本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『不動産投資の嘘』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    不動産投資の嘘

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    大村 昌慶

    幻冬舎メディアコンサルティング

    融資のこと、業者のこと、出口戦略のこと…不動産投資において知っておくべき情報は数多く存在する。 これから投資を行おうと思っている人、実際に投資を行っている人の多くは、本やセミナーから多くの情報を得る。しかし、そ…

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