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「18歳以下1人当たり10万円」…子育て世帯の実情は
第二次岸田文雄内閣が発足して、今日で6日。100代に続き、101代内閣総理大臣となった岸田文雄総理は、変わらずコロナ感染拡大防止、経済回復への対応を担うこととなりました。特にコロナ対策については、12月以降のワクチンの「ブースター接種」の開始、年内の「飲む治療薬」の実用化についても言及しており、その手腕が問われています。
また、昨今世間の話題をさらった現金給付。年収960万円を超える世帯を除き、18歳以下1人当たり10万円相当の支援を行うとしていますが、これには「不平等だ」「子育て世代意外にも困窮している人はたくさんいる」との意見が噴出しました。
なお本日、所得制限について「世帯主の年収で判断」との発言を修正。松野博一官房長官は同日の記者会見で「主たる生計維持者の収入を基準として判断されることになる」としました。
本件、つまり「年収960万円を超える世帯構成員が1人いる」場合、対象外になるというわけです。一方、それぞれ年収500万円、合わせて年収1000万円の子持ち夫婦(いわゆるパワーカップル)は、今回の給付金対象者となります。ただ、「児童手当に準じる」との報道もあり、扶養数等によって所得制限限度額に違いが生じる可能性も。
子どものいる世帯の資金繰りの現状は、厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査の概況』に記されています。同調査によると、「児童のいる世帯」の所得平均は「745万9000円」、貯蓄額平均は「723万8000円」、借入金額平均は「1119万7000円」となっています。借入れは多くの場合住宅ローンが大半を占めますから、この金額にも納得といえましょう。
なお母子家庭の場合、所得平均は「306万円」、貯蓄額平均は「389万円」、借入額平均は「148.7万円」となっています。所得、貯蓄ともに自動のいる世帯の半分ほど。支援が求められていることは明らかです。
ちなみに『民間給与実態統計調査』(国税庁・令和元年)を見ると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は436万円(男性540万円、女性296万円)です。男性でもっとも給与が高くなるのは55歳~59歳の「686万円」、女性でもっとも給与が高くなるのは50歳~54歳の「525万円」です。年収960万円の壁ははるかに高いことがわかります。