(※画像はイメージです/PIXTA)

現在、新型コロナ感染拡大の影響で、在宅医療がスタンダードになりつつあります。麻酔科医から在宅医へと転身した矢野博文氏は書籍『生きること 終うこと 寄り添うこと』のなかで、「最期までわが家で過ごしたい」という患者の願いを叶えるために、医師や家族ができることは何か解説しています。

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80歳・男性患者の要望「年をとったので楽にしたい」

事前の情報ではIさんは医者の前ではあまりしゃべらないとのことでしたが、初診時のIさんは多弁でした。今まで通っていた病院では世間話をしないので楽しくなかったけれど、ここでは何でも聞いてくれて楽しいとのことでした。

 

ただ、話し好きの人が話し出してどうにも止まらなくなったというのではなく、自分のことをとつとつと静かに語るという感じでした。

 

肺がん手術の後遺症で反回神経麻痺があり、声がかすれていましたが、ぽつりぽつりと多くを語ってくれました。

 

毛髪がないので帽子は脱ぎたくない。入院は嫌だった。今後は自宅で過ごしたい。排便はもう一週間ないが、出る気がしないので薬は飲まない。以前は月2回競輪に通っていたが、使うのは5000円までと決めていた。たばこもお酒も好きだったが今はやめている。高校時代はサッカーで全国大会に行った。今は特にやりたいことはないが、年をとったので楽にしたい。あとは死ぬだけ……。

約4年前に甲状腺がんで甲状腺を全摘、その後も…

私たちとかかわる以前に、Iさんには多くの病歴がありました。約4年前に甲状腺がんを患い、甲状腺を全摘出しました。

 

約1年前に肺がんとなり、右肺上葉切除術+リンパ節郭清術を実施しています。そしてその手術から四カ月後に膵尾部がんと多発肝転移が見つかりました。

 

病院で化学療法を続けながら、私たちのクリニックの外来にも通院するという形でのスタートとなりました。病状は病院主治医より本人にも説明されており、余命に関しても「そう長くはない」と説明されていたようです。

食事や排便には無頓着だが、重要な意思決定は淡々と

この初診の2週間後、Iさんは予約時刻より早く、突然外来にやってきました。Iさん宅を訪問した娘さんが、自宅リビングで動けなくなっていたIさんを発見し、外来に慌てて連れてきたのです。

 

聞けば同居している息子さんの用意する食事がほとんど食べられず、ここ数日は満足な食事ができていませんでした。排便は5日なく、ここ1カ月ほどは入浴もしていない状況でした。

 

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