(※写真はイメージです。/PIXTA)

“一国一城の主”を目指し、独立開業したもののあえなく1年で倒産…そんなケースは決して珍しくありません。資金調達アドバイザーの田原広一氏は、現場で数多くの失敗事例を見聞きしてきたからこそ、「開業前に最低でも半年間分ぐらいは、売上がゼロでも生活できるよう生活費を貯めておいてください」とアドバイスしていると言います。自力で貯めるのが難しければ、借金も選択肢であると述べますが…。

「いざお金に困ってから」では借りられない可能性大

金融機関からすれば「お金がない会社=貸しても返ってきそうにない会社」

借入に対する最も問題視するべき誤解が、「困ってから借りればいい」という考え方です。

 

「借りる必要がないのに、なぜ手間ひま、コストをかけて融資を受けなければならないのか」という主張は、一見、正論のようでもあります。

 

しかし、私のもとにも、ギリギリの状態に追い込まれてから、相談にみえる方がいらっしゃいますが、“自転車操業”に陥った状態で、お金を借りたいと思っても、借りられる可能性は大幅に下がります。私の会社としてもサポートをお断りせざるを得ないケースが出てきます。

 

「お金がないから、お金を借りたい」

「困っているから助けてほしい」

 

社長の切実な思いは十分理解できます。しかし、事業がすでにスタートし、「売上が上がっていない赤字の会社」「お金がない会社」という烙印をいったん押されてしまうと、融資を受けるのは非常に難しいのです。

 

お金を貸す側に立ってみれば分かると思うのですが、お金がない人(会社)、つまり回収の可能性が低い人に、多額の資金を貸したいと考えるでしょうか。慈善事業ではないのですから、誰もが答えは「NO」のはずです。つまり、困ってから融資を受けたいと思っても、時すでに遅しなのです。

お金に困っていないときこそ「借り時」

「銀行は晴れの日に傘を差し出し、雨の日には傘を奪う」という言葉を聞いたことがあると思います。

 

銀行は「困っていないときにはお金を貸したがるが、いざ業績が落ち込んで資金調達ニーズが高まると、お金を貸してくれるどころか、先に貸したお金の回収に走る」ということを揶揄した言葉です。むろん、近年、あからさまな“貸し剝がし”は鳴りを潜めていますが、雨の日、つまり赤字の会社に傘を差し出す銀行はまずありません。

 

ならば晴れの日、つまり困っていないときにこそ、必要がなくてもお金をできるだけ多く借りておく。早め早めのアクションこそが経営の安定につながるのです。

 

 

田原 広一
株式会社SoLabo 代表取締役

 

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※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

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田原 広一

幻冬舎メディアコンサルティング

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