(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年11月9日に公開したレポートを転載したものです。

2. 景気の現状判断DI:飲食を筆頭に大幅改善

現状判断DIは、感染者数の減少が続き、経済活動の制限が緩和されてきていることから、前月に引き続き、大幅に改善した。

 

景気の現状判断DIの回答者構成比をみても、改善又は現状維持と回答した割合が増加し、悪化と回答した割合が減少した。改善と回答した割合は4割を超えた。

 

現状判断DIの内訳をみると、全ての内訳で大幅な上昇となった。家計動向関連は56.3(前月差15.4ポイント)、企業動向関連は51.2(同8.6ポイント)、雇用関連は59.7(同10.4ポイント)であった[図表4]。

 

[図表4]現状判断DI・回答者構成比
[図表4]現状判断DI・回答者構成比

 

家計動向関連のうち、特に大幅上昇となったのは、これまでにコロナ禍で大きな影響を受けた飲食関連やサービス関連であり、ともに60を超え、これまでにない景況感の改善度合いとなった。現状水準判断DIでも急激な上昇がみられ、コロナ前に回復した状況ともいえる。

 

また、雇用関連の上昇幅は、現状判断DIと現状水準判断DIの双方で大きくなっており、恒常的な人手不足に加えて、急激な景況感の回復を踏まえ、企業の採用意欲が高まっていることが示唆される。

 

なお、企業動向関連も上昇しているものの、回答者のコメントからは、半導体不足をはじめとした製造部品の不足や部品・原材料の価格高騰を懸念する意見が多々みられた[図表5][図表6][図表7][図表8]。

 

[図表5]現状判断DIの内訳の推移 [図表6]現状水準判断DIの内訳の推移
[図表5]現状判断DIの内訳の推移
[図表6]現状水準判断DIの内訳の推移

 

[図表7]現状判断DI(家計動向関連)の内訳の推移 [図表8]現状判水準判断DI(家計動向関連)の内訳の推移
[図表7]現状判断DI(家計動向関連)の内訳の推移
[図表8]現状判水準判断DI(家計動向関連)の内訳の推移

 

<人手不足に関連した回答者のコメント>

 

「行動制限や時短営業が緩和されたことで徐々に人出が増え始めた。しかしながら、様子をうかがって恐る恐る出掛けているのが現状であり、一気に回復という雰囲気には程遠い。宴会の予約も顕著にみられるようになってきているが、少人数のグループばかりであり、店側も細かい対応を求められるなど、大変そうである。

 

また、休業や時短営業によってアルバイトを解雇した飲食店がほとんどであるため、いざ忙しくなっても人手不足で対応できないことも多い。複数の店舗を経営している飲食店では、人手不足でいまだに一部の店を休業している。さらに、商材や燃料の価格高騰や品不足、部品不足などによって、店舗にも多大な影響が生じている」(北海道・商店街(代表者))

 

「Go To Travelキャンペーンがあった前年と比べて70%、前々年比では65%と持ち直しの兆しがみえる。来客数は増加傾向にあるが、前年同様に平均単価が上がらない。緊急事態宣言が長く続いた影響で、飲食店を中心に人手不足で回っていない店が多い」(北陸・商店街(代表者))  

 

<半導体不足などの部品の不足、価格高騰に関する回答者の主なコメント>

 

「世界的な半導体不足で生産ができない状態である。生産のめどもはっきりしないので、現時点で売る車がない。厳しい状況が続いている」(東海・乗用車販売店(経営者))

 

「部品が入らず、どんな部品でも3~4か月待ちの状況である。また、毎月のように部品価格がどんどん値上がりしていて、かなり状況として厳しくなっている。同業者に話を聞いても、「年内は何とか部品は持つが、来年の分がどうなることやら」という感じである。自動車関係も半導体等がなくて製造が止まっているが、製造業全体が止まるような気がしている」(北関東・電気機械器具製造業(経営者))

 

次ページ3. 景気の先行き判断DI:上昇幅は限定的

本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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