(※画像はイメージです/PIXTA)

タイガー・ウッズはアマチュアからプロ転向の翌年、いきなりマスターズで優勝し、世界を驚かせました。 ※本連載は吉田洋一郎氏の著書『PGA 超一流たちのティーチング革命』(実務教育出版)から一部を抜粋し、再編集したものです。

プロ転向後、指導を受けた4人のコーチ

タイガーはスーパースターへの階段を上っていく途中、さまざまな挫折を経験し、試行錯誤を繰り返してきました。どんなに優れたプレーヤーでも、その道のりでは必ず壁に突き当たります。壁は、その人のレベルに合わせて高くなったり低くなったりして、難易度を変えます。初心者が突き当たる壁は、良いコーチに教われば容易に乗り越えられるでしょう。

 

しかし、トッププロが突き当たる壁は高く険しく、これまで誰も乗り越えたことのないレベルです。そのような壁を1人で乗り越えることは、才能に恵まれたスーパースターでもできません。そこで必要になるのは、自分に必要なスキルを持った指導者を見つける能力、アドバイスに対し謙虚に耳を傾ける姿勢、人から応援される人間性だと思います。

 

一流の選手は、自分一人の力では何もできないことを知っています。自分一人の努力だけで、今の自分の地位を築いたなどと考えている選手はいないでしょう。実際、一流選手が優勝をした後にインタビューを受けると、必ず自分を支えてくれたスタッフや家族、友人らに感謝の言葉を述べます。それがマナーだという面もあるのですが、高い壁を乗り越えてきた選手の言葉には、「周囲の協力と励ましがなければ、ここまでたどりつけなかった」という実感が込められているはずです。

 

これは、タイガーも例外ではありません。タイガーはプロ転向後、主に4人のスイングコーチから指導を受け、スイングを変えてきました。しかも、スイングの変更は微調整といったマイナーチェンジではなく、スイングに対する考えやプレースタイルを変えるほどのフルモデルチェンジでした。

 

人間は自分の考え方や、過去の成功体験に固執しがちです。自分の才能や努力で成功してきた選手が、それまでのスタイルを捨てることは容易ではありません。考え方や取り組み方を変えられず「今のスタイルを追求すれば、さらなる高みに到達できるのではないか」とそれまでと同じことを繰り返したり、自分の能力を過信して人の話をうまく取り入れることができない場合があります。

 

タイガーは、常に自分のゴルフに何が必要かを冷静に分析し、そのために必要なコーチに学び、常に成長したいという意識を持って謙虚に学んできました。これが、タイガーをグッドプレーヤーからグレートプレーヤーへと成長させた最大の理由です。

 

自分にとって最適なコーチを探し出し、彼らの言葉に謙虚に耳を傾け、自分自身も努力した。要するに、これだけのことなのですが、目標を実現するためには、自らを変革する意志とスキルが欠かせないのです。多くの人はタイガーのプレーやスイングを真似することはできないでしょう。しかし、それ以上に大事な、自らを高めるアプローチ方法や戦略的な思考は真似することが可能です。


吉田 洋一郎
ゴルフスイングコンサルタント

 

 

PGA 超一流たちのティーチング革命

PGA 超一流たちのティーチング革命

吉田 洋一郎

実務教育出版

弱肉強食の世界でも、長く第一線で活躍し続ける人は、何が違うのか? 奇跡とも言われる4度のスイング改造で、ゴルフ界の記録を次々と塗り替えてきたタイガー・ウッズ。史上最年長でマスターズを制し世界に衝撃を与えたミケル…

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