(※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、被相続人の居住場所をはじめ、確認すべき事項が一気に増えます。本連載では、在日韓国人の方の相続手続きについて見ていきましょう。「どちらの国で何をすればいいの?」といった基礎情報から、実際のノウハウまで、日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が解説していきます。

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在日韓国人の相続…財産の確定、遺産分割協議書の作成

第1回では、相続手続きのうち、「①相続人の確定」について説明しました。本記事では、相続人確定後の手続きについて解説します[図表]。
 

 

[図表]

 

■相続財産の確定

 

相続人の確定と並行して行うことは相続財産の確定です。相続財産とは、被相続人が相続開始時点で有していた財産であり、その財産を確定して遺産分割や相続税申告を行うことになります。なお、預金や不動産といったプラスの財産だけではなく、銀行からの借入金や、電気代・水道代などの未払金といったマイナスの財産についても確定する必要があります。

 

日本と韓国では相続税の課税対象となる範囲、及び課税財産から控除できる債務等の範囲が異なりますが、いずれにしろ、相続財産を正確に把握することが重要です。

 

韓国では1993年から金融実名制が導入され、すべての金融取引における実名取引の義務化によって金融所得の一括管理が実施されるようになりました。

 

なお、2016年2月からは韓国政府が実施する「安心相続ワンストップサービス」を利用して韓国の財産等を照会することができるようになりました。金融取引(預金や有価証券)、土地、自動車等の財産、国税及び地方税の未納税額・還付税額について個別機関を訪問せずに一括申請で確認することができます。

 

ただし、在日韓国人の場合、韓国に居住していないことから、住民登録番号(日本のマイナンバーのようなもの)が付与されておらず、上記のサービスを利用することはできません。そのため、預金通帳や証券会社の書類、固定資産税の納税通知書などから相続財産を確定していく必要があります。

 

■遺産分割協議・分割協議書の作成

 

被相続人が遺言書を残していない場合、相続人が協議して誰がどの相続財産をどれだけ相続するかを決めることになります。相続税が課税される場合には、遺産分割の方法により納税額が変わるため、納税額や納税方法も考慮して分割を進める必要があります。遺産分割が確定すると、遺産分割協議書を作成して相続人全員が署名捺印を行います。

 

韓国財産の名義変更手続きには、韓国語で記載された遺産分割協議書か、日本語で作成された遺産分割協議書を韓国語に翻訳する作業が必要です。なお、遺産分割協議書に添付する日本の印鑑証明書は、当然ですが韓国では通用しません。翻訳して翻訳証明やアポスティーユを付けるか、領事認証を取得するなどいくつかの手続きが必要です。

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本稿は筆者が令和3年5月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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