「自由に使用」が原則…専有部分の規制をしたい場合は
■専有部の用途制限について明確に規定したい
共用部分や共有の敷地や付属施設についての使用規制は、使用細則で幅広く定めることができます。ところが、専有部分の使用規制についての基本的な事項は規約で定める必要があります。
それは、専有部分は本来それぞれの所有者が、その区分所有権に基づき自由に使用および収益すべきものでありますから(民法第206条参照)、専有部分については、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」(法第6条第1項)を除き、元来、それぞれの所有者が自由に使用することができるのが原則であります。
したがって、専有部分(敷地が分有である場合は敷地も含む)の使用に関して規制する場合は、規約に定めをおくことが必要であり、また規制できる事項も、区分所有者間相互において専有部分の管理又は使用を調整するために必要な事項に限られることになります(法第30条第1項)。
ただ規約で基本的な事項を定め、その範囲内での細則の決定を集会の普通決議に委ねることは、相当の範囲内において許されるものと考えられています。
犬、猫等の動物の飼育規制、ピアノ等の楽器の演奏時間の制限、専有部分の大規模な修繕・改修等の専有部分の使用に関する規制を規定する場合は、それらについての基本的事項を規約で定める必要があり特別決議事項となります。使用細則を制定する場合は、規約で定めた用途制限事項の確認または詳細規定となるように注意して作成します。
松本洋
松本マンション管理士事務所代表