これから不動産投資を行おうと思っている人、実際に投資を行っている人の多くは、本やセミナーから得る情報を頼りにしています。しかし、その情報は本当に正しいのでしょうか。実は不動産業界には、まことしやかに語られる “嘘”が蔓延しているのです。本連載では、不動産の「立地」に関連した“嘘”の見抜き方をご紹介します。

投資するエリアは「分散」するべき

「どの場所で不動産投資を行うのがいいのでしょうか」

「どの地域で不動産を購入すればいいのでしょうか」

 

そういった質問をよく受けますが、結局は、何がベストというのはないと思います。物件の種別、地方なのか、都心なのかというところから、中古か新築かなど、木造とRCなど構造もいろいろありますし、一棟か区分かというところもあると思うのですが、基本的に、全てにおいてメリット・デメリットがあります。

 

投資の基本として、「同じ籠に卵を入れるな」という有名な言葉がありますが、さまざまな種別の物件を持っておくのがリスクヘッジになると考えます。

 

ですから、いろんな種類を、ポートフォリオを組んで持つというのが一番いいと思います。同じエリアに集めて所有する方が効率的ではありますが、災害を考えればエリアも分散すべきでしょう。

重要なのは「都心か地方か」ではなく「需要と供給」

エリア選定において重要なのは、「賃貸の需要と供給が合っているか否か」ということです。

 

都心に物件を持ちたいと考える投資家は多いですが、供給も多いので競争率が高くなります。そういうエリアですと、新築から、築年数が経つことによる家賃の下落も大きい場合もあります。

 

家賃で見ても入居率で見ても、やはり新築が高くて、中古になってくるとどんどん下がってきます。逆に郊外の決して便利とはいえない立地ですが、周囲にアパートがないため、常に満室を保っているという話もあります。都心が全てそうだというわけではありませんが、都心だから安全というわけではないということを知っておくことが大切です。

 

また、大学や大企業の工場が近いとニーズがあるというのは、安心材料だけではない可能性も高いです。学生需要があるからという思い込みでアパートを新築したり、中古物件を購入しても、供給過多になっているケースがほとんどです。市場の調査をせずに、需要があるだろうという思い込みで物件を購入するのは本当に危険です。

 

実際に大学の移転や工場の移転というのはよくあることですし、需要を失った結果、破綻している地主が多くいるのが現実なのです。

 

結局のところ、一概に都心だからといっていいわけではありませんし、地方だからといっていけないというわけでもありません。繰り返しになりますが、肝心なのは「需要と供給のバランス」です。地方の特徴としては、マーケット自体は、都心に比べたら小さいかもしれませんが、本当に詳しく調べると、需給がいいエリアもあります。

 

そこでしっかり賃貸の需要と供給がマッチしているのであれば、地方でも不動産投資として成立しているわけです。

 

他にも、よく受ける質問で「自分が知っている立地がいいのでしょうか」というものがあります。これは意見が分かれるところですが、土地勘があるところで買うか、それとは一切関係なく選ぶか、という問題があります。

 

自主管理をするのが目的であれば、ある程度自宅から近い物件がいいと思いますが、資産を増やすのが目的ですから、別に地縁にはこだわらなくてもいいと思います。

 

その購入しようと思った物件が、たまたま土地勘があるところで市場の調査がしやすかった、というのはあるかもしれませんが、資産を増やすにあたってはその物件がどこにあろうが関係ありません。

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『不動産投資の嘘』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

不動産投資の嘘

不動産投資の嘘

大村 昌慶

幻冬舎メディアコンサルティング

融資のこと、業者のこと、出口戦略のこと…不動産投資において知っておくべき情報は数多く存在する。 これから投資を行おうと思っている人、実際に投資を行っている人の多くは、本やセミナーから多くの情報を得る。しかし、そ…

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