母親の死後、資産家の父親は内縁関係の女性と自宅マンションで同居していました。ところが、高齢となった父親も死去。いまは亡き父親のマンションに、内縁関係にあった女性がひとり生活しています。マンションを相続した子どもは、この女性に出ていってほしいと考えています。どうしたらいいのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。
籍が入っていない限り、配偶者の権利は認められない
しかし、相続の場合は、籍に入っていない場合、配偶者として、相続権は認められていません。
よって、内縁の妻にも相続権があるとする選択肢①は誤りです。
内縁の妻も、内縁の夫と共同で財産を築いてきて、夫婦の財産は共有と推定されているので、遺産について権利が認められてもおかしくない、あるいは認められないとかえって不公平なのではないかと考える方もいると思います。
しかし、過去の判例では、離婚のときに認められるような財産分与は、死亡による別れのときには適用されないとされています。
したがって、内縁の夫が亡くなってしまった場合、内縁の妻には、相続権も財産分与権も認められず、不動産も、預貯金も、株式等も全く内縁の妻のものにはできないこととなります。
ならば、「出て行け!」と迫れるのかというと…
では、Xさんは、内縁の妻Bさんに、マンションから出て行けと立ち退きを請求することができるでしょうか。
内縁の妻Bさんには、相続権がないことから「マンションから出て行け」といえそうです。
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高島総合法律事務所
代表弁護士
1965年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業、1994年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。現在、高島総合法律事務所、代表弁護士。
不動産会社、個人の資産家等の顧問を務めており、『相続・遺産分割する前に読む本―分けた後では遅すぎる!』、『訴えられたらどうする!!』、『企業のための民暴撃退マニュアル』(以上、税務経理協会)などの著作がある。
「遺産相続・遺留分の解決マニュアル」をホームページに掲載している。
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