(画像はイメージです/PIXTA)

大学卒業後、家を飛び出して行方知れずになってしまった兄。その後、資産家の父親の死亡で相続が発生するも、妹は兄と連絡がつかず、相続手続きに着手できません。財産には大量の収益不動産が含まれ、妹は途方に暮れてしまいます。どんな解決方法があるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

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相続人である兄が行方不明、遺産分割協議に着手できず

Aさんは、貸マンションを何棟も持っている資産家です。Aさんには、子どもが長男Xさんと長女Y子さんがいます。しかし、長男Xさんは大学卒業後に家を出たまま、行方不明です。Xさんの住民票上の住所は、実家であるAさんの自宅になっています。

 

Aさんが亡くなり、Y子さんはAさんの遺産について遺産分割協議をしたくてもできません。相続税の支払いのため、預金を下ろしたくても、Aさんの預金口座を解約できません。貸マンションの賃貸借契約も一人で結んでよいのかわかりません。

 

さて、この場合、Y子さんはどうしたらよいでしょうか。

 

①遺産分割協議ができないのは、Xさんの行方不明が原因なので、遺産分割協議をしなくても、Y子さんが全て遺産を取得することができる。

 

②Xさんが行方不明でも遺産分割協議をすることは必要なので、Xさんを探さないとY子さんは遺産を取得することができない。

 

③Xさんが行方不明でも遺産分割協議をすることは必要で、Xさんの不在者財産管理人を裁判所に選任してもらえば、遺産分割協議が可能となる。

 

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次ページ行方不明の相続人抜きでは何も始まらない…

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