今週の米ドル/円は「114円を大きく上回るか」がカギ
少し悩ましいのは、米ドル/円自体でみると、90日MAからのかい離率もとくに短期的な「上がり過ぎ」懸念が強いというほどではないということです。米ドル/円の90日MAからのかい離率は、経験的にはプラス5%以上に拡大すると短期的な「上がり過ぎ」懸念が強まりますが、いまだそこまでには至っていません(図表4参照)。
また、CFTC統計の投機筋の円ポジションは、先週にかけて売り越しが10万枚まで拡大しましたが、これまでの実績からすると、とくに円の「売られ過ぎ」懸念が強いというほどではなさそうです。
低金利の円は買うより売るリスクが取りやすいため、過去の実績を見る限り、売り越しが10万枚を大きく上回る中で「売られ過ぎ」懸念が強まっていくということでしょう(図表5参照)。
要するに、米ドル/円自体に、米ドルの上がり過ぎ、円の売られ過ぎといった、「行き過ぎ」懸念が強いということではなさそうですが、米ドル高・円安をリードした米国の超金融緩和政策の転換を織り込む米2年債利回り上昇に、短期的な「行き過ぎ」懸念がかなり強くなっているということです。
その意味では、米ドル/円の反落リスクは、あくまで米2年債利回りが短期的な「上がり過ぎ」の反動によりどの程度下がるかといった間接的な影響がカギを握ることになるでしょう。
ちなみに、最近の米ドル/円は週間値幅が1.5円前後に拡大しています。先週末にかけて米ドルが113円台半ばへ反落したのも、115円を超えられず114円台で米ドル高が行き詰ったことから、値幅拡大が米ドル下落方向への圧力になったと考えることもできます。
このような週間値幅を参考にすると、今週米ドル/円が114円を大きく上回れないようなら、米2年債利回りの低下次第では113円割れへ米ドルが続落する可能性もありうるのではないでしょうか。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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