一時114円後半を記録するも反落…「米ドル/円」上昇一服の背景と今後の展開

10/26~11/1の「FX投資戦略ポイント」

一時114円後半を記録するも反落…「米ドル/円」上昇一服の背景と今後の展開
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は一時114円後半まで上昇するも、週末にかけて113円台半ばへ反落となりました。反落するきっかけがあったようには見えませんでしたが、一体なぜこのような値動きとなったのでしょうか。本記事では、FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、先週の米ドル/円上昇一服の理由と、今後の展開について考察していきます。

今週の米ドル/円は「114円を大きく上回るか」がカギ

少し悩ましいのは、米ドル/円自体でみると、90日MAからのかい離率もとくに短期的な「上がり過ぎ」懸念が強いというほどではないということです。米ドル/円の90日MAからのかい離率は、経験的にはプラス5%以上に拡大すると短期的な「上がり過ぎ」懸念が強まりますが、いまだそこまでには至っていません(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表4]米ドル/円の90日MAからのかい離率 (2000年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

 

また、CFTC統計の投機筋の円ポジションは、先週にかけて売り越しが10万枚まで拡大しましたが、これまでの実績からすると、とくに円の「売られ過ぎ」懸念が強いというほどではなさそうです。

 

低金利の円は買うより売るリスクが取りやすいため、過去の実績を見る限り、売り越しが10万枚を大きく上回る中で「売られ過ぎ」懸念が強まっていくということでしょう(図表5参照)。

 

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の円ポジション (2015年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

 

要するに、米ドル/円自体に、米ドルの上がり過ぎ、円の売られ過ぎといった、「行き過ぎ」懸念が強いということではなさそうですが、米ドル高・円安をリードした米国の超金融緩和政策の転換を織り込む米2年債利回り上昇に、短期的な「行き過ぎ」懸念がかなり強くなっているということです。

 

その意味では、米ドル/円の反落リスクは、あくまで米2年債利回りが短期的な「上がり過ぎ」の反動によりどの程度下がるかといった間接的な影響がカギを握ることになるでしょう。

 

ちなみに、最近の米ドル/円は週間値幅が1.5円前後に拡大しています。先週末にかけて米ドルが113円台半ばへ反落したのも、115円を超えられず114円台で米ドル高が行き詰ったことから、値幅拡大が米ドル下落方向への圧力になったと考えることもできます。

 

このような週間値幅を参考にすると、今週米ドル/円が114円を大きく上回れないようなら、米2年債利回りの低下次第では113円割れへ米ドルが続落する可能性もありうるのではないでしょうか。

 

 

 

吉田恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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