(※写真はイメージです/PIXTA)

「停まっていたフェラーリを見て憧れ、歯科医を志した」…お世辞にも裕福とは言えない家庭環境から歯科医師になったあづみハッピー歯科医院院長・安積中氏。本記事では、人生を変えることになった同氏の「強烈な体験」について見ていきましょう。

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    他人と比べる思考が薄れていった「母の口癖」

    1つ目に挙げた「他人と比べない」という思考を、私は母から学びました。学んだというより、刷り込まれたといったほうが正確かもしれません。事あるごとに、母に「よそはよそ、うちはうち」と言われて育ったため、その繰り返しによって人と比較する思考が薄れていったのです。

     

    私の家が貧乏であることは幼い頃から分かっていました。ただ、そうはいっても子どもです。2Kの風呂なしの団地だったので、銭湯通いが日課でしたが、そこで友達がコーヒー牛乳を飲んでいれば、自分も飲みたいと思います。しかし「よそはよそ、うちはうち」です。

     

    「オカン、俺もコーヒー牛乳飲みたい。買(こ)うて」

     

    風呂上がりに母親に頼みますが、答えは決まって「アカン」です。

     

    「家に帰ったら麦茶があるやろ」

     

    と一喝されます。

     

    友達が「新しいおもちゃを買ってもらった」と自慢すれば、自分も欲しいと思います。

     

    「オカン、みんなこのおもちゃもってんねん」

     

    そう言っておねだりすると、答えはもちろん「アカン」です。

     

    「みんな、とちゃうやろ」と言います。

     

    「みんな」がもっているわけではない。もっていない人もいる。だから、買わない。この理屈でピシャリ、です。

     

    そう言われてしまうと、私はそれ以上何も言えません。確かに、みんながもっているわけではなく、クラスの何人かがもっているだけで、もっていないのは私だけではないからです。

     

    こういうやりとりを日常的に繰り返していくと、あらゆる事柄において、友達と自分を比べることが少なくなっていきます。誰かを羨ましく思う気持ちや自分の境遇を恨む気持ちは、誰かと自分を比べることから生まれます。それがなくなっていくことで、やっかみが消え、妬む気持ちが消え、自分の不遇を恨むこともなくなっていったのです。これは今思えば、笑うチカラの下地づくりでした。

     

    人は2つの感情を同時にもつことができません。笑って楽しい気分になるためには、まずは妬んだり卑屈になったりする気持ちと、そのようなネガティブな気持ちを生み出す、人と比較してしまう思考を変える必要があります。

     

    私は、母からの日常的な「よそはよそ、うちはうち」の刷り込みにより、友達を羨んだり、自分の境遇を卑屈に感じることがなくなりました。結果、楽しいことを「楽しい」と感じたときに、素直に笑えるようになったというわけです。

     

    また「よそはよそ、うちはうち」という刷り込みは、突き詰めていえば、自分のことに集中しなさいという教えだったとも思います。その教えがやがて、人と比べることなんてせずに、「歯医者になる」という自分の目標を大切にして、自分のことだけに集中して取り組んでいくことにもつながっていきました。

     

     

    安積 中

    あづみハッピー歯科医院院長

     

     

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    ※本連載は、安積中氏の著書『人生を切り開く笑いのチカラ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    人生を切り開く笑いのチカラ

    人生を切り開く笑いのチカラ

    安積 中

    幻冬舎メディアコンサルティング

    人生における失敗や挫折を「笑い」に転換するための思考法とは? 日本人の4人に1人は何かしらの不満を抱えています。 老後の未来には年金不安と健康不安が待ち受けており、それに加えて、昨今ではコロナ禍での鬱々とした…

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