あなたにオススメのセミナー
【関連記事】「ほんなら、5時に」団地でお金を稼いだ少年…友人驚愕のワケ
オトンとオカンのケンカが始まりそうや…
(あ、オトン、な〜んかイラついてるなあ…)
厳格な、というより酒癖が悪い父がいる家庭で少年時代を過ごした私は、家庭内の雰囲気に敏感でした。もめごとが起きそう、怒られるかもしれない、ビンタが飛んでくるかもしれない…。そんな兆候を察するのがうまく、理不尽な理由で怒られたりするのを避けるために、野生動物さながらの防衛本能として空気を読む能力が身についていったのです。
同時に、笑わせるチカラも身についていきました。嫌な空気を察知したときは、志村けんさんのギャグを真似て場を和ませます。
(オトンとオカンのケンカが始まりそうや…)
そんなときは「ヒゲダンス」です。
笑いは淀んだ空気を「浄化」します。その効果を、私は幼少期の頃から体感していました。もちろん、百発百中で笑わせたわけではありません。不機嫌な父の前でドタバタと「ヒゲダンス」を披露し、「静かにしとけ!」とビンタをくらったこともありました。そういう失敗はありつつも、我が家の日常は笑いによって平穏に保たれていました。
緊張と弛緩(しかん)のメリハリがお笑いの基本概念の一つだとすれば、我が家には父がもたらす緊張感と、私がもたらす笑いの絶妙なバランスがあったのです。
「笑わせること」と「目標を達成すること」の共通点
幼少期から着々と身につけてきた笑わせるチカラは、目標達成の観点からいえば、人を引き寄せる力と言い換えることができると思います。
人は楽しいことを好み、面白い人のところに集まります。人が集まるということは、そのぶん目標達成に役立つ知恵、勇気、自信、元気なども集まってくるということです。当然、仕事もうまくいきやすくなります。人が集まるということはお客さんや取引先が増えるということですし、困ったときに助け舟を出してくれる人も増えるということだからです。
誰かを笑わせるためには、相手、空気(雰囲気)、文脈などを冷静に観察することも重要です。いくら秀逸なネタだとしても、結婚式で別れのジョークはウケません。髪の毛を気にしている人にカツラの話をすると怒られます。適切なネタを、適切なタイミングで出すためにも、「あの人、ただのボケたがり」と思われないようにするためにも、自分の周囲の状況を客観的かつ俯瞰的に把握することが大事なのです。
これは目標達成にも通じます。目標達成までは長い道のりです。瞬発力も必要ですが、基本的には持久力が必要です。そのため、力の入れどころと抜きどころを見抜きつつ、「これだ」という能力を、「ここぞ」というタイミングで最大限に発揮することが求められます。
「これだ」という能力は、漫才でいえばネタです。漫才師が面白いネタをネタ帳に貯め込んでいくように、目標をもつ人は、目標達成に役立つ知識、技術、人脈などを貯め込んでいく必要があります。一本の長い漫才をつくり上げるような感覚で、目標達成までのシナリオを考えます。そのうえで、漫才でいえば落としどころ、目標達成でいえば落としてはいけないところを明らかにするということです。
歯医者を例にすると、歯科大学や歯学部の入試があり、歯科医師免許を取得するための国家試験があります。これらが「ここぞ」の場面であり、目標達成の重要な勝負どころです。歯医者になったあとも、どこで臨床研修を受けるか、どの歯科医院に勤務するか、いつ、どこで開業するかといったことを考える必要があります。
そこでつまずかないようにするために、いつ、どんな能力が必要になるか把握しておくことが大事ですし、「ここぞ」の場面で能力を最大限に発揮できるように、能力を磨いておくことが大事なのです。突き詰めていえば、笑わせるチカラは、キャリアを築く力です。笑わせるチカラを高めれば高めるほど、目標達成の可能性が大きくなるのです。