※画像はイメージです/PIXTA

超高齢社会の日本において、認知症患者は今後ますます増えていきます。親御さんの認知症の発症を防ぐ、あるいは発症後の介護に備えるには、なにが重要となるのでしょう。介護事業を運営する、株式会社アテンド・代表取締役の河北美紀氏が解説します。※本記事は、書籍『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)より抜粋・再編集したものです。

突然、親が認知症になったら?備えておきたいこと

ある日突然、親が認知症になったら? 仕事は、プライベートは、そして資金繰りはどうなるのかと、誰もが不安に思うのではないでしょうか。いざというときに慌てないためにも、親が認知症になった場合の心がまえと在宅介護に必要な準備について一緒に考えてみましょう。

 

基本的な心がまえ~自分の気持ちと親の気持ちを大切に~

 

認知症ケアをする上で一番忘れてはいけないのは、親が認知症になったことを子どもがネガティブに考えること以上に、親自身は自分や周囲の環境が少しずつ(または急激に)変化することに傷つき、不安を抱いているということです。

 

人間ですから、ときには親子でぶつかり傷つけることもあるかもしれませんが、互いを思いやり、支え合う気持ちを持ち続けることで、親子関係はほどよいバランスを取ることができます。

 

人生100年時代。介護も長距離走になると想定し、介護サービスの検討も、仕事もプライベートも資金繰りも、しっかり考えていくことが大切です。どこまでを在宅介護の限界とするのか、あらかじめ家族間で話し合い、それぞれの役割分担から資金計画までを考えておきましょう([図表1])。

 

[図表1]働きながら親の介護を考えるときの5か条

 

段階別の認知症ケアのポイント

 

認知症といっても、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症など、さまざまな種別があります。さらに、その方が生きてきた背景や家族構成などにより個人差があるので一概にはいえませんが、一般的に想定される範囲でケアのポイントをご紹介します([図表2])。

 

中でも、脳血管性認知症の場合は脳出血や脳梗塞などで一気に症状が進行する場合がありますので、その点もふまえて参考にしてください。

 

[図表2]認知症の親を介護する際の参考基準

 

いざとなったときの選択~在宅から施設へ~

 

「在宅か施設か」は、誰もが葛藤し悩むことです。ただし、鏡の中の自分を見て限界だと感じたときは、次の選択を考えるサインです。

 

介護は基本的に長距離走です。介護する側とされる側が共倒れになってしまわないように、在宅で限界まで頑張ったのであれば、一定の距離を保ちながら違う形で親をケアしていくことも大切です。施設や病院に住まいを移したとしても、親子の絆が切れるわけではありません。

 

むしろ、「スープの冷めない距離」になったことで心に余裕ができ、互いの関係が良くなることも多々あります。このことが、次なる親子関係を築いていく始まりなのかもしれません。親子の絆を引き続き大切にしていきましょう。

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身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本 介護のプロが教える介護保険120%活用マニュアル

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河北 美紀

実務教育出版

日本における要介護者数は06年で425万人→12年で545万人と、6年で100万人以上増えています。 しかし、これまでの介護本の著者はジャーナリストが多く、現役のプロ介護職や介護事業所経営者が書いた本はほとんどありませんで…

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