突然、親が認知症になったら?備えておきたいこと
ある日突然、親が認知症になったら? 仕事は、プライベートは、そして資金繰りはどうなるのかと、誰もが不安に思うのではないでしょうか。いざというときに慌てないためにも、親が認知症になった場合の心がまえと在宅介護に必要な準備について一緒に考えてみましょう。
基本的な心がまえ~自分の気持ちと親の気持ちを大切に~
認知症ケアをする上で一番忘れてはいけないのは、親が認知症になったことを子どもがネガティブに考えること以上に、親自身は自分や周囲の環境が少しずつ(または急激に)変化することに傷つき、不安を抱いているということです。
人間ですから、ときには親子でぶつかり傷つけることもあるかもしれませんが、互いを思いやり、支え合う気持ちを持ち続けることで、親子関係はほどよいバランスを取ることができます。
人生100年時代。介護も長距離走になると想定し、介護サービスの検討も、仕事もプライベートも資金繰りも、しっかり考えていくことが大切です。どこまでを在宅介護の限界とするのか、あらかじめ家族間で話し合い、それぞれの役割分担から資金計画までを考えておきましょう([図表1])。
段階別の認知症ケアのポイント
認知症といっても、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症など、さまざまな種別があります。さらに、その方が生きてきた背景や家族構成などにより個人差があるので一概にはいえませんが、一般的に想定される範囲でケアのポイントをご紹介します([図表2])。
中でも、脳血管性認知症の場合は脳出血や脳梗塞などで一気に症状が進行する場合がありますので、その点もふまえて参考にしてください。
いざとなったときの選択~在宅から施設へ~
「在宅か施設か」は、誰もが葛藤し悩むことです。ただし、鏡の中の自分を見て限界だと感じたときは、次の選択を考えるサインです。
介護は基本的に長距離走です。介護する側とされる側が共倒れになってしまわないように、在宅で限界まで頑張ったのであれば、一定の距離を保ちながら違う形で親をケアしていくことも大切です。施設や病院に住まいを移したとしても、親子の絆が切れるわけではありません。
むしろ、「スープの冷めない距離」になったことで心に余裕ができ、互いの関係が良くなることも多々あります。このことが、次なる親子関係を築いていく始まりなのかもしれません。親子の絆を引き続き大切にしていきましょう。